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11-11-02

がんばっぺフラガール!

  • 福島の人々の想い、見る私達の想い、淡々と伝える真実、言葉。

 2011年3月11日に起きた東日本大震災、福島県いわき市にあるスパリゾートハワイアンズも建物に被害を受け、営業停止を余儀なくされた。地元出身者が大部分を占めるフラガールたちも被災者となってしまったが、1ヶ月後、再会に向けて全国キャラバンをはじめることに。同時にハワイアンズでは被害の少なかった宿泊施設に被災者の受け入れを行なっていた。
 被災したスパリゾートハワイアンズが部分再開する10月1日までの約半年を追ったドキュメンタリー。本当に福島の人たちの想いが詰まった作品。

がんばっぺ フラガール!

(C)「がんばっぺ フラガール!」製作委員会

 福島県いわき市は地震の被害も受け、福島第1原発からも比較的近く二重の被害を受け、映画用中止を余儀なくされたた。映画『フラガール』でお馴染みのフラダンサー「フラガール」たちもとても踊れる状況ではない。しかし、1ヶ月後に彼女たちは呼び出され、練習を再会、ハワイアンズが、そして福島が元気でいることを伝えるために全国キャラバンを行うことにした。

 この映画で主人公となるのはダンシングチームのサブリーダーで双葉町出身の大森梨江さん、今も実家は双葉町にあり、家族は千葉県に避難している。彼女は家族と一緒に避難せず、フラガールの寮で暮らし、キャラバンで忙しい日々を送る。その生活の中で、実家から救い出されたペットたちに会いに行くのが楽しみだ。

 この映画はフラガールだけでなく、ハワイアンズがどのようにして震災から立ち直って言ったのかも描く。震災直後から広野町の人たちを受け入れ、社員が彼らをもてなす。

 大森さんの自宅は福島第1原発から約2キロの場所にあり、一時帰宅の対象になる。カメラは大森さんの一時帰宅に同行し、避難区域の様子を記録する。

 たらたらと事実を書いてきたが、私はこの映画について事実しか書くことができないような気がする。この映画にはフラガールを始めとして、ハワイアンズの人々、避難してきた広野町の人々、大森さんの家族など福島の人たちがたくさん登場する。そして彼らは話す。別に苦しい心情を吐露したり、どんな経験をしたかを語ったりするわけではない。彼らが話すのは今のこと、いま何を考え、何をしようとしているのかを話すだけだ。

 それがすごくいい。彼らは「生きている」と実感できる。この映画に死者やけが人は登場しない。しかし、彼らの背後にはたくさんの被害者がいることは意識しない訳にはいかない。しかし彼らは生きている。

 本当にそれだけのことがすごく感動的なのだ。この映画の最後は10月1日にスパリゾートハワイアンズが部分再開され、小さなステージでダンスが披露されるエピソードだ。それもことさらに感動を誘おうとしたりはせず、意外と淡々と語られている。しかしそれで十分なのだ。通常ならば大したことではないことも、いまこの時にはそれをやるだけですごいことなのだ。

 そんな大したことではないことの積み重ねである映画を観て私は感動してしまう。そして、感動してしまった自分を振り返ると、そこに震災後たまり続けてきたストレスがあることに気づく。もちろんそれは福島の人たちに積み重なったものとは比べるべくもないけれど、ずっしりと重くのしかかっていたことは確かだ。この映画を観てそれを感じ、同時にそれがいくぶんか軽くなる。

 映画として面白いかといわれればそんなに面白い映画ではないかもしれない。しかし、この映画には震災とその後の原発事故という大きなストレスを抱える人々の感情を揺さぶる力がある。それを感じられさえすれば、それでいい。

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