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12-10-25

ブワカウ

  • 死を待つゲイの老人レネ、でも死はなかなか訪れず、やることがない。
ブワカウ

 マニラ郊外に暮らすレネは初老を迎えたが広い家で愛犬のブワカウと二人暮らし。すでに定年退職した郵便局に通って雑用をし、知人がいなくなるといっては遺言を書き換えて神父に託す。老人ホームの友人を訪ねると「あなた誰?」と言われる日々。実はゲイであるレネは死を待ちながら友人と喧嘩をしたりといがいと忙しい日々を送っていたが…
 フィリピンの名優エディ・ガルシア主演のコメディ・ドラマ。アカデミー賞外国語映画賞のフィリピン代表作品に選ばれた。

ブワカウ

 寂しく暮らす老人がトライシクル(三輪タクシー)の運転手と喧嘩をしながら郵便局にゆき、雑用をし、みなと昼ごはんを食べるが実はもう定年退職していて給料をもらっているわけでもないという導入ではじまり、老人ホームの友人を尋ねるがその友人は彼のことを覚えてもいないというエピソードが続く。ここまでは彼がゲイであることは明らかにされていないが、別に隠されているわけでもなく、その後、夜中に闖入者が現れることでそれはすぐに明らかになる。

 それに続くのはレネのちょっとおかしな日常だ。遺言状を残すことに偏執し、遺品はすでにダンボールに整理して上げる相手の名前を書き、そのリストは神父に預ける。自宅ではキリストの横臥像の隣で寝るが別に信心深いわけではなく、しかし隣人のその像を見せて欲しいという願いは無碍に断る。ゲイの友人の美容院に行っては喧嘩をし、突然葬儀屋が廃業するという知らせを受けて買ってあった棺を受け取るハメになる。

 まあこんな小さなおかしなエピソードの積み重ねがなかなか面白い映画だ。ストーリーらしいストーリーというのはないが、日常の中で様々な出来事が起き、それが連なっていく事で物語としては成立する。

 で、最終的にどんな映画かといえば、要は「死に方から考える生き方」というような映画だ。レネは自分が死ぬための準備を着々として、もはや死ぬために生きているようにすら見える。でも死なない。むしろ周りの人が先立ち、さらには愛犬のブワカウまで癌だと宣告されてしまう。そのような中でレネはどう生きるのか、60歳まで自分がゲイであることを明かせずに偽ってきた彼にとって残りの人生でやるべきことは何なのか、どのような人達と過ごすべきなのか、そんなことが語られる。

 まあ、当たり前のことだ。ゲイという設定はあまり関係ない。全く関係なくはないけど、ゲイだからというよりは人とはちょっと違う性質を持っているからという程度にしか関係はない。だからまあ、要するに普通の人が年老いていった時にどんな生き方をするかということで、陳腐な言い方をすれば「誰にでも当てはまりうる」物語だということになる。

 でも別にレネに共感するとか、彼の気持ちになって切なくなるとか、そういうものでもない。切り取られた日常がそこにあって、多少なりともポジティブな気持ちを受け取る事が出来るという感じだろうか。

 犬は可愛いし、レネも周りの人たちも面白いし、見ていて気が楽になったり、なにかホッとしたり、いろいろな当たり前のことについて改めて納得したり、まあそんな映画だ。

カテゴリ: 2010年代, フィリピン, 映画祭

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