映画を日常にする映画観察サイト

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16-05-25

あん - 桜や木々が印象に残り、日常の美しさと生きることについて考えた

  • 2015年,日本=フランス=ドイツ,113分

街角で小さなどら焼き屋をやっている「千太郎のところに一人の老婆が訪ねてきて、「働かせてくれないか」と言ってくる。確かにバイトは募集していたが、年寄りには無理だと考えたせんちゃんはその申し出を断る。しかし、その老婆・徳江は、この店は餡がいまいちだからと、自分が作った餡を店主に食べてもらおうと持ってくる。その餡を食べた千太郎は美味しさに驚き、働いてもらうことにし、お店も繁盛するのだが…

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15-10-19

ダムネーション - ダムとサーモンの共存の道を考えさせるのはアートか

  • 2014年,アメリカ,87分

この映画はタイトル通り「ダム」の映画だ。巨大なダムの完成を祝うルーズベルト大統領の演説から始まり、19世紀から作られてきたアメリカのダムの歴史も紹介され、地図上に示されると驚くべきとしか言うしか無いほどの数のダムがアメリカに存在していることもわかる。

他方で、この映画は「サーモン」の映画でもあるといえる。サーモンはネイティブ・アメリカンにとって重要なタンパク源で、先祖代々の漁法によって資源量も維持しながらずっと獲ってきたが、ダムの建設によって資源量が激減し、映画の舞台となるワシントン州では1匹しか遡上してこない年もあったといい、それが建設時に魚道を作るなどとしていた保護の約束が果たされていないことに起因することもわかる。

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15-05-13

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) - じわじわ来る笑いと魔術的な世界観、心象風景のリアル

(C)2014 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.
  • 2014年,アメリカ,120分

アレハンドロ・G・イニャリトゥというと、『アモーレス・ペロス』は面白かったけど、『バベル』とかはどうなんだろうという感じで、そういえば『BIUTIFUL ビューティフル』は見たっけな?

それでも、実は意外と好きな監督で、最新作が公開されると言われれば気にはなる。他にはないというか、独特の「空気」が映像からにじみ出てくるようで好きだ。

その「空気」というのはどちらかと言うと暗い感じの空気で、それは、人間の心の闇のようなものを描いているというのもあるが、同時に色彩を多く使いながら、それを重ねあわせることで、多すぎる色が混ざり合ったキャンバスのような暗いトーンの映像を生み出しているという事も言える。

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14-09-26

物語る私たち - 物語ることで自分を省みる「ドキュメンタリー」の傑作

  • 2012年,カナダ,108分

 サラ・ポーリーの母ダイアンは、元舞台女優でキャスティング・ディレクターをしていた。サラがまだ子供の頃に亡くなった母について話を聞くべく、サラは父親のマイケル、兄マーク、姉ジョアンナ、異父姉のスージー、異父兄のジョンに話を聞く。そこで浮かび上がってきたのは自由奔放で、周囲を明るくする母の姿だったが、友人にも話を聞いていくとそこには秘密めいた一面もあった。サラはその秘密を解きほぐしていく…
 サラ・ポーリーが自分の家族の歴史に迫った「ドキュメンタリー」。ドラマのような展開の中で、「事実」と「物語る」いうことの本質が突き詰められていく。

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14-08-14

LIGHT UP NIPPON ~日本を照らした、奇跡の花火~ - 震災を記憶に留めるための「祭」という発想そして行動力は素晴らしい

  • 2012年,日本,99分

 東日本大震災の影響で東京湾花火大会が中止になることを知った高田佳岳はその花火はどうなってしまうのか花火会社に問い合わせ、その花火を使って東北で花火大会ができないかと考える。4月に早くも被災地に赴き、現地の人たちに花火大会について意見を聞くが、その反応は冷ややかなものだった。それでも高田は諦めず、東京での体制を整え、5月に再び被災地に向かう。
 2011年8月11日に初めて開催された「Ligh up Nippon」花火大会の開催までを追ったドキュメンタリー。素晴らしい活動だが映画としては?

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14-07-09

her/世界でひとつの彼女 - 新しさと懐かしさが同居する古典的SFラブストーリーの傑作

  • 2013年,アメリカ,126分

 近未来のロサンゼルス、依頼を受けて手紙を代筆する会社に勤めるセオドアは、別居して1年が経つ妻のキャサリンのことが忘れられず、鬱屈とした毎日を過ごしていた。ある日、最新型のAI型OS“OS1”の広告を目にしたセオドアは早速購入し、インストールしてみる。そのOSは自らをサマンサと名づけ、セオドアと会話をはじめた。会話によって成長するサマンサは徐々にセオドアと打ち解け、少しずつお互い惹かれるようになる…
近未来を舞台に、人間とAIの恋を描いたラブストーリー。直球のSF的題材ながら古典的なラブストーリーとして秀逸で「これぞ映画」と言いたくなる名作。

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13-07-26

ヴィック・ムニーズ ごみアートの奇跡 - 「アートには人を変える力がある」ということを信じたくなる

ヴィック・ムニーズ
  • 2011年,イギリス=ブラジル,98分

 ブラジル出身で現在はNYを拠点に活躍する現代アーティストのヴィック・ムニーズ。彼はさまざまな材料を使って絵を描き、それを写真に収めた作品を作ってきた。そのヴィックがリオ・デ・ジャネイロにある世界最大のゴミ処理場に2年間滞在し、作品を作るというプロジェクトを始める。ブラジルでの相棒ファビオとともにゴミ処理場に赴き、そこで働く“カタドール”と呼ばれる人々をモチーフにそこにある「ゴミ」を使って作品を作り始める。
 現代アーティストのヴィックがアートを通じてゴミ処理場で働く人々と交流し、彼らを変えていく過程を描いた感動的なドキュメンタリー。監督は「カウントダウンZERO」などのルーシー・ウォーカー。

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13-03-28

フォークス・オーバー・ナイブス – いのちを救う食卓革命 - 動物性食品の危険を告発!でもやめるほどでは…

  • 2011年,アメリカ,96分

 栄養学の研究者キャンベル博士は研究を進めるうち、動物性タンパク質と癌の関係に気づき、心臓外科医のエセルスティン博士はいくら外科手術をしても患者が減るわけではないという外科の限界を悟る。2人が行き着いたのは菜食による予防医療という考え方、そして研究を進め、乳製品を始めとするあらゆる動物性食品を避けることを提言するが…
 自身も生活習慣病の可能性を指摘され菜食に挑戦したリー・フルカーソン監督による社会はドキュメンタリー。

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13-01-16

バレンタイン一揆 - 重く難しいテーマも「共感」からなら興味を持てる

バレンタイン一揆
  • 2012年,日本,64分

 高校3年生のまほちゃんとアリカ、大学2年生のこっちゃんの3人はNPO団体のワークショップで出会い、「児童労働」について知るためにケニヤへと向かう。現地ではまず首都で現状について勉強、その後10時間をかけて僻地のカカオ生産地へ旅をする。NPO団体の活動の結果、児童労働の根絶に成功したその村で彼女たちは子どもたちに話を聞き、実際の労働を体験する…

 「児童労働」と「フェアトレード」の問題を知るためにケニアに行き、日本に帰ってきて「バレンタ
イン一揆」という啓蒙活動を始めた3人の女の子を追ったドキュメンタリー

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13-01-11

演劇2 - 演劇は「まず食う」ために社会とどう関係すべきか

演劇2
  • 2012年,日本=アメリカ,172分

 日本を代表する劇作家・演出家のひとりである平田オリザ、彼が主催する劇団「青年団」は東京にある「こまばアゴラ劇場」を中心に活動を行なっている。「観察映画」を実践するドキュメンタリー映画作家想田和弘はその青年団の稽古や本番、事務仕事から平田オリザの様々な活動にまで密着、4年の歳月をかけて『演劇1』『演劇2』という2本の作品にまとめあげた。
その「2」では、講演や交渉などの演劇そのもの以外の活動や海外公演、新たな試みとして取り組む「ロボット演劇」に焦点を当て、演劇とその外部との関係を描き出した。

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