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町奉行日記 鉄火牡丹

2003/1/8
1959年,日本,90分

監督
三隅研次
原作
山本周五郎
脚本
八尋不二
撮影
今井ひろし
音楽
高橋半
出演
勝新太郎
淡路恵子
根上淳
鶴見丈二
近藤美恵子
中村玉緒
preview
 江戸の場内で隣藩の大名に盛り場を抱えることで財政を潤していると愚弄された藩主は、藩が抱える堀外(ほりそと)と呼ばれる盛り場を一掃しようと考え、重役たちの反対を押し切って、じきじきに任命した町奉行望月小平太を派遣する。 国では重役たちが小平太の着任に気をもんでいたが、着任した小平太は重役たちのところに顔を出す前に、町人に身をやつして件の堀外に潜入し、酒を飲み、女を抱いていた…
 勝新太郎と三隅研次のコンビによる時代劇の一作。勝新太郎はかっこいいし、三隅研次の演出もいい。時代劇というのは、単純な人情モノとかちゃんばらモノではなくて、なんだか爽快だったり笑えたりといろいろするこういう話のほうが面白い。市川崑が同じ原作で『どら平太』を撮った。
review
 やはり勝新太郎はかっこいい。勝新太郎の着流しはかっこいい。ちゃんばらもかっこいい。淡路恵子も中村玉緒もかわいい。
 という感じで、話としては一人の切れ者が巨悪を倒すという、時代を問わず使われてきた物語で、今でもよくある話ではある。主人公が女ったらしだったり、大酒のみだったりというのも、ヒーローによくある話ではある。
 それだけに、普通に作ってしまうとあまりに普通の話になってしまって、つまらなくなってしまいがちだけれど、この映画はとても面白い。それはなぜかといえば、先ずは主人公の小平太のキャラクター。ただ女ったらしとか大酒のみとかいうわけではなく、頭が切れるというのが物語にとっては大事なわけだけれど、映画にとって大事なのは、女ったらしとか大酒のみのほう。とくに女にまつわる話をこの映画は大きな比重を置いて描いている。物語の進行には全くかかわりがないのだけれど、そのような小平太に対する態度のとり方によってその人物が小平太にとって敵か味方か、小平太に対してどのような立場をとる人物なのか、ということが見えてくる。小平太の竹馬の友である堀と安川がその最もわかりやすい例になる。

 それに加えて、この映画は物語にあまりかかわりのない描写が非常に多い。奉行所で茶碗を大事にする役人やら、小平太と兄弟の杯を交わすマッチョの筋肉のぴくぴくやらそれをじっくりと見せる必要もないようなことがぽんぽん出てきて、それがことのほか面白い。
 これはスペクタクルとして一つのプロットを見せることに主眼をいたハリウッド映画とは対極に位置するものであるともいえる。このような映画の作り方は、昭和30年代映画の黄金期を迎えていた日本映画によく見られるつくり方で、このように作られた映画に今見ても面白いものが非常に多い。
 勝新太郎もそんな映画に数多く出ている人の一人で、『兵隊やくざ』シリーズ、『悪名』シリーズ、『座頭市』シリーズと数多くの人気シリーズが、どれもユーモアにあふれ、物語展開も面白く、脇のキャラクターにも切れがある。やはり勝新は勝新。これだけの役者さんはなかなか出てこないですね。

 今思いつきましたが、哀川翔ってスケールは小さいけれどちょっと勝新っぽいですね。たくさんのシリーズに出ているとか、ユーモラスなこともバリバリのアクションもできるとか、なかなか共通点が多いかもしれない。時代じみた言い方で言えば、「平成の勝新」みたいな…
Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: 日本50年代以前

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