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パニック・ルーム

2003/2/8
Panic Room
2002年,アメリカ,113分

監督
デヴィッド・フィンチャー
脚本
デヴィッド・コープ
撮影
コンラッド・W・ホール
音楽
ハワード・ショア
出演
ジョディ・フォスター
クリステン・スチュワート
フォレスト・ウィテカー
ジャレッド・レトー
ドワイト・ヨアカム
preview
 夫と離婚して、娘とふたり新居を探すメグは、不動産屋に勧められたマンハッタンの真ん中の大きな屋敷で、家の不思議な構造に気づく。そこには「パニック・ルーム」と呼ばれる外部からは進入することが出来ない鋼鉄で囲まれた完璧な防犯システムがある部屋があった。結局その家を買うことにしたメグは、娘のサラと移り住むが、引っ越したその日家に泥棒が侵入してきた…
 デヴィッド・フィンチャーが仕掛けるサイコ・サスペンス。撮影開始時の主演は二コール・キッドマンだったが、撮影中に怪我をして降板、ジョディ・フォスターが代役に立って映画を撮りなおした。
review
 脚本はメタメタです。サイコ・サスペンスにありがちな物語がそのまま映画になってしまった感じ。基本的に舞台設定から予想されるとおりに物語が展開していきます。映像化するに際しては「これは何かあるな」とおもわせる「もの」を執拗に映すこと(たとえば、携帯電話。あるいは腕時計(のようなもの)をはめたまま寝るサラ)で伏線を張って物語の展開をスムーズにして入るけれど、あまりに展開に個性がないので、あまりドキドキ感とか、驚きとかを演出することは出来なかったかと思います。
 逆に展開をスムーズにすることよりも観客を驚かすことを考えたほうが映画としては面白くなったのではないかと思います。観客の知らないものを使って映画を展開させるというのはサスペンスとしては反則かもしれないけれど、この映画はどのように犯人を倒すのかという謎解きよりも、恐怖感や驚きを楽しむ映画だと思うので、物陰から何かが飛び出てくるような脅かし方をするのも一驚かと思います。

 さすがにデヴィッド・フィンチャーは映像の作り方が面白い。この映画を見ていると、従来のカメラによるカット割という考え方がどんどん無意味になってしまうような気がします。最初のほうでカメラが外側から鍵穴を抜けて室内に入っていくシーンがありますが、これは鍵穴を抜ける部分は明らかにCGでその前後は違うカット、つまり通常の2カット+CGという3カットで出来ているわけですが、見た目上は1カットのシーン。このシーンはあいだのつなぎがわかりやすいCG だからいいですが、これが実際の映像と区別がつかないものの場合、1カットという概念が意味を持たなくなる。別に1カットが意味を持とうが持つまいがどうでもいいのかもしれませんが、1カットの中にどのようなスペクタクルを盛り込むのかということに、古から数々の映画人が挑戦してきた(たとえば『輪舞』のマックス・オフェルス、『雪の断章 情熱』の相米慎二)ことを考え、その工夫から生まれた映画的な面白さを考えると、デジタルによってそれが実現してしまうのはなんだか寂しい気がします。
 でも、この映画のようなCGを駆使した画面作りも面白い。世の趨勢はこんなCG利用のほうに流れるわけですが、この技術はまだそれほど洗練されておらず、つたないままに映画として現れてきてしまっているものも多いわけです。これが洗練され、一つの映画技法として確立されれば、それはそれでアナログなながまわしの技術とうまく両立できるのかもしれません。そのような技術の積み重ねによって面白い映画が生まれればそれでいいに違いないですね。

 映画の感想からすっかり離れてしまいました。映画の感想としては、ジョディ・フォスターの熱演がすごい。やっぱり物語としてはいまいち。ラストもなんだか中途半端。という感じですか。
Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ2001年以降

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