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タワーリング・インフェルノ

2003/3/16
The Towering Inferno
1974年,アメリカ,165分

監督
ジョン・ギラーミン
アーウィン・アレン
原作
トーマス・N・スコーシア
フランク・M・ロビンソン
リチャード・マーティン・スターン
脚本
スターリング・シリファント
撮影
フレッド・コーネカンプ
ジョセフ・バイロック
音楽
ジョン・ウィリアムズ
出演
ポール・ニューマン
スティーヴ・マックィーン
ウィリアム・ホールデン
フェイ・ダナウェイ
フレッド・アステア
O・J・シンプソン
preview
 サンフランシスコに完成した地上135階の超高層ビル。設計士のダグはこれを最後に砂漠で過ごそうと考えていた。その完成式が迫る中、コントロール・ルームで異常が発生、仕様書どおりの部品を発注しなかった社長の娘婿の仕業とわかるが、何の対策も出来ないまま完成式は始まってしまう。そしてついに火事が発生、消防車が駆けつけ、最上階の招待客たちも避難を始めるが…
 フォックスとワーナーが組んで作成したパニック映画の超大作。時代にマッチした設定とスターの競演で大ヒットポール・ニューマン、スティーヴ・マックィーンという“男”の映画。
review
 たぶん子供のころ、この映画をテレビで見て、かなり面白かった記憶があります。135階の超高層ビルなんて想像を絶する未来のもの、日本でもサンシャイン60とか、新宿の高層ビル街なんかが出来てはいましたが、小学生の私がいったことのあるビルといえば新宿の三角ビル(住友ビル)ぐらいでした(理由は忘れた)。そのビルは多分50階くらいで、この映画に「三角ビルの3倍!」という驚きを持っていたような気がします。
 そんな思い出話はさておき、脅威の高層ビルというイメージで非現実的な恐怖感があり、かなり面白く見ていたはずなのですが、高層ビルに慣れてしまったのか、「9.11」の現実のすさまじさに負けてしまったのか、その当時のものがテレビ用にカットされていたせいもあるのか、今回見たノーカット版は妙に長く、冗長なように感じられてしまいました。映画の終盤はさすがにパニック映画の醍醐味、たたみ掛けるような展開で、スティーヴ・マックィーン大活躍で楽しかったわけですが、前3分の2のあまりに冗長な展開に辟易してしまったのでした。アクションや特撮のすごさを見せるために一つ一つのシーンが長くなりすぎてしまっているような印象で、観客を引き込むような展開力がない。いろいろな人のキャラクターをしっかりとつかませる助走という意味ではいいのですが、やはりあくまで助走なので、そんなに面白くない。当時は目新しさもあってただそれだけで面白かったのかもしれませんが、今見るとちょっとね、という気がしてしまいます。
 その助走の部分も含めてこの映画はまずもってポール・ニューマンとスティーヴ・マックィーンの映画。ポール・ニューマンは50年代からずっと名優という感じですが、私は70年代にはいって渋くなってきてからのほうが好きです。『スティング』なんて最高! マックィーンのほうはこの作品を最後に一線からは退いてしまったという感じで寂しい限りです(自ら製作総指揮した2作品と遺作となった『ハンター』に出演)。
 このふたりの男男したヒーローぶり(特にマックィーンですが)がこの映画の最大の見せ所、男っぽさしびれ消防士になることを決意した人が世界中にいったいどれくらいいるでしょうか? と思います。その感じで言うと、デ・ニーロの『バックドラフト』に通じるものがあるかもしれません。とにかく、パニック物とヒーロー物がうまく合体した感じでなかなかうまい感じになっているわけです。

 でも、現代に通じるかというとなかなか微妙という感じ。時代性といえば、この映画では「デジタル表示」が登場しますが、この「デジタル表示」というのはいつから普及したものなんでしょうか? 1960年代後半の「サンダーバード」なんかはすっかりアナログ、この映画は74年、60年代だと近未来の設定でもアナログになっているので、デジタルという概念自体が生まれたのが70年代ということなんでしょうか? アナログ機器を使っていると、なんとなく時代性が感じられてオールドスタイルのSFという感じで消化できるのですが、デジタル機器が使われていると、現代の範疇に入ってしまうという印象が私にはあるので、この映画は現代の範疇に入り、だからちょっとレベルが低く見えてしまうというのもあるのでしょう。古典に入れるにはまだ新しすぎるというところでしょう。もう10年たったら、古典としてむしろ新鮮に見られるのかもしれません。
Database参照
作品名順: 
監督順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ60~80年代

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