友だちの恋人
2003/4/17
L'Ami de Mon Amie
1987年,フランス,102分
- 監督
- エリック・ロメール
- 脚本
- エリック・ロメール
- 撮影
- ベルナール・リュティック
- 音楽
- ジャン=ルイ・ヴァレロ
- 出演
- エマニュエル・ショーレ
- ソフィー・ルノワール
- エリック・ヴィラール
- フランソワ・エリック・ジェンドロン
- アン=ロール・マリー
パリ近郊の小都市で市役所に勤めるブランシュが一人でランチを食べているところ、合い席を求めてきたレアと知り合う。意気投合した二人は互いのことを話し、レアにはファビアンという恋人がいるがレアは飽き気味で、ブランシュはアレクサンドルに思いを寄せていることを語る。レアがヴァカンスで町を離れている間、ブランシュはファビアンと逢うようになり…
ロメールの「喜劇と格言劇」シリーズの6作目。いつものように軽妙な恋愛ものながら、かなり極端なキャラクター設定でついつい笑ってしまうような話の展開を作り出している。まさにロメールらしい小技が光る作品。
この映画の登場人物は主に4人ともう1人ですが、それがみんな性格がてんでばらばら。フランス人がそうなのか、ロメールの描き方がそうなのか、みんながみんなエゴイスティックというか、言葉の上ではいろいろ言っていても、結局自分がよければいいみたいな感覚が見えてくる。主人公のブランシュだけはちょっと違うんだけれど、まわりの人たちは「そんなブランシュのほうがおかしい」みたいな感覚で彼女を見つめる。だから、和を尊ぶ(?)日本人が見ると彼らの行動はかなり以外で、「臆面もなく恥知らずな行動」をしているのに思わず笑ってしまう。果たしてこれが日本人一般に言えることなのか、そしてフランス人でもそうなのか、ということはわからないけれど、少なくとも私にとってはそんな変な人たちにうつりました。
描きようによっては「恋は盲目」みたいにして、恋しているからこそこんなエゴイスティックな行動をとってしまうというような描き方も出来ると思うけれど、ロメールはそのような方法はとらず、淡々と彼らの行動を切り取っていくのでどんどん現実離れしていくように見えてしまう。果たしてそれが狙いなのか、「喜劇と格言劇」というシリーズのコンセプトからするとそれが狙いなんでしょう。すごいぞ!ロメール。と思いました。
そのようなどうも現実感のない話であるにもかかわらず、ロメールの映画は非常に自然に見える。まるで日常生活の一部分を見えないカメラで切り取ったような現実感。これはどこから来るのか、この映画を見ていると、カメラの中心になる人々以外の部分にその秘密があるような気がする。たとえば、カフェに座って会話をしているときに、その後ろの席の人たちが映っていて、まったく自然に会話をしていたり、泳ぎに行くシーンでたくさんの人がいて、それはまったく普通にくつろいでいたり、町を歩くシーンで、すれ違う人の中にちょっと変わった人が自然な感じで混ざっていたり、われわれが日常と感じるものをわざとらしくなく画面の隙間にもぐりこませる。
ここにも淡々としているだけのように見えるロメールの映画がなぜか面白く、何度か見ても飽きない秘密があるような気がします。しかも、たぶん、そんな画面の端に映る人々にもロメールは細かく演出しているのでしょう。偶然だけではなかなかそんな自然な感じは出ない気がします。さすが、ロメール。と思いました。