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修禅寺物語

2003/5/8
1955年,日本,98分

監督
中村登
原作
岡本綺堂
脚本
八住利雄
撮影
生方敏夫
音楽
黛敏郎
出演
高橋貞二
淡島千景
岸恵子
草笛光子
坂東蓑助
加東大介
preview
 鎌倉幕府の第2代将軍頼家は蹴鞠に興じる日々を送っていた。政治の実験は母の尼御代政子とその父親で執権の北条時政が握り、頼家には何の実権もなく、将軍であることに嫌気が指していた。心の支えは若狭局だったが、その父比企能員も北条時政に取って代わろうという権力欲にかられていることを知り絶望する。 そんな時、伊豆の修禅寺から能面作りの名人夜叉王がふたりの娘を連れて鎌倉にやってくる。夜叉王は時政に頼まれた面を届けにきたのだが、その面はより家の放った矢によって過って割れてしまった…
 岡本綺堂の歌舞伎演目の一つを映画化。源頼家という歴史の表舞台にはなかなか登場してこない人物を主人公とし、さらに能面師を登場させることで、いかにもという感じ。淡島千景と岸恵子の姉妹が見もの。
review
 淡島千景と岸恵子、松竹の看板女優で50年代には押しも推されぬスターである二人。『君の名は』にも一緒に出演している。今の印象では岸恵子のほうがスターで淡島千景は準主役という感じがするけれど、当時では淡島千景だって相当なスター。そのスター二人を裁くのが女優を撮らせたら日本一と当時言われた中村登監督である。主人公の頼家はどうもさえないけれど、女優ふたりは光っている。
 特に淡島千景のキャラクターと振る舞いはかなりすごい。将軍やら貴族やらの側めになることが人生の目標で、伊豆の田舎に引っ込んでいるのを嫌がるという設定だが、その徹底振りがすごい。その表情に決意のほどが表れているというか、半ば狂気が合い混じるような表情に危うい美しさが漂う。私は岸恵子の健康的な美しさ(というよりはかわいさ)よりも、淡島千景の方に魅かれた。
 そのあたりを利用して、もっと色恋の話を強くして、ほとんど登場場面のない加東大介あたりも引き込んで、ドロドロと展開していくと面白くなったような気がするけれど、おそらくそのような物語を作るのは、60年代であり、日活や大映であって、50年代の松竹ではない。50年代の松竹はやはりこのような硬派な物語を作り、それはそれでいいのだと思う。私が60年代の大映や日活が好きだというだけの話。

 ということなので、ドロドロの話はやめて、この映画の美しさの話しをしましょう。なんといってもいいのは衣装。幕府の女性が着る衣よりも、夜叉王の家の人たちの衣装が素敵。淡島千景と岸恵子の姉妹はもちろんだが、夜叉王の着物もいい。職人の仕事着なわけだが、機能的でありながら鮮やかな色合いで、「着物ってやっぱりいいね」と思わせるところがある。中村登は日本的なものを撮る監督でもあるから当然なのかもしれないが、このように日本的なものを美しく撮れる監督がいなくなってしまったのは少しさびしい気もする。
Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: 日本50年代以前

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