麗しのサブリナ
2003/5/14
Sabrina
1954年,アメリカ,113分
- 監督
- ビリー・ワイルダー
- 原作
- サミュエル・テイラー
- 脚本
- ビリー・ワイルダー
- サミュエル・テイラー
- アーネスト・レーマン
- 撮影
- チャールズ・ラング・Jr
- 音楽
- フレデリック・ホランダ
- 出演
- オードリー・ヘップバーン
- ハンフリー・ボガート
- ウィリアム・ホールデン
- マーサ・ハイヤー
ロングアイランドの大富豪ララビー家の運転手フェアバンクスの娘サブリナは当家の次男デヴィッドに子供のころから思いを寄せていた。しかし、デヴィッドはサブリナに目もくれることもなく、サブリナは料理修行のためパリに行く、1年後、見違えるような令嬢になって帰ってきたサブリナに婚約者のいるデヴィッドが夢中になってしまう。ララビー家の長男ライナスはその結婚が破談になることを恐れてサブリナをデヴィッドから遠ざけようと画策するが…
ヘップバーンのワイルダー作品初出演作、『ローマの休日』に続いてヒットし、オードリーの人気は不動のものに。「サブリナ・パンツ」なる言葉まで生まれ、アカデミー衣装デザイン賞も獲得。
ワイルダーとオードリーのコンビというと、この作品と『昼下がりの情事』。『昼下がりの情事』のオードリーの相手役はゲイリー・クーパー、この作品のほうはハンフリー・ボガート。オードリーがボギーの弟役のウィリアム・ホールデンに恋をする時点で年の差的にはぎりぎりという感じなのに、おじさんもおじさんとしか見えないボギーと恋に落ちるというのはなかなか無理があるように感じてしまう。調べたところ、ハンフリー・ボガートは1899年の生まれだそうです。オードリートの年の差は30歳。そりゃぁ、無理を感じてしまうわね。
ところで、そのボギー演じるライナスはもともとはケーリー・グラントの予定だったそうで、それが変更されたそうです。グラントだったらまた違った感じの映画になって、年齢的にはまだうまくあうのかもしれないけれど、役回りからするとボギーのほうがぴたりと来るのではないかという気がします。配役が変わった時点でもう少し脚本をいじってちょっと年寄りな感じを盛り込めば、無理なく話を展開できたのでは… と思います。
もう50年近く前の作品なのに、冷静によくないところを考えさせてしまうのは、この作品がまだまだ十分に鑑賞に堪えるということの証明でもあるのではないかという気がします。配役に文句なんかを言っていますが、出演している役者たちの多くがもうなくなってしまったりしているのを考えると、オードリーもワイルダーもボギーもやはり偉大な映画人だったのだなぁとつくづく思います。たくさんのいい作品を残してくれてありがとう、と本当に思います。
さて、映画のほうですが、フランスの料理学校の様子なんかがなかなか楽しく、そのあたりはワイルダーの喜劇作家としての本領発揮という感じですが、全体的には甘口のロマンスという感じで、ワイルダーオリジナル脚本ではなく、原作があり、しかもその原作者のサミュエル・テイラーが脚本にも加わっているということがワイルダー職を薄めさせる原因になっているのでしょう。オードリーもまだ若いし、こういうメロメロの物語もいいのかもしれませんが、私はもっと展開や勢いのある映画のほうが好みですね。その点では『昼下がりの情事』のほうが数段面白い。
しかし、サブリナ・パンツなどといわれて、パンツ・スタイルが話題になるところを見ると、時代的にはこの程度でも画期的だったり、新しさや勢いがあるものだったのかもしれません。しかし、その時代的なものというのは想像するしかないので、それで何かいうのはやめておきましょう。