スポット
2003/5/18
See Spot Run
2001年,アメリカ,97分
- 監督
- ジョン・ホワイトセル
- 脚本
- ジョージ・ギャロ
- グレゴリー・ポイリアー
- ダン・バロン
- クリス・フェイバー
- 撮影
- ジョン・S・バートレイ
- 音楽
- ジョン・デブニ
- 出演
- デヴィッド・アークエット
- アンガス・T・ジョーンズ
- レスリー・ビブ
- マイケル・クラーク・ダンカン
- ポール・ソルヴィノ
- ジョー・ヴィッテレリ
- アンソニー・アンダーソン
FBIが麻薬取引の現場に乗り込むが、麻薬が発見できない。しかし、FBI史上最高の捜査犬・捜査官11号が登場し、麻薬を見つけ出し、マフィアのボスに負傷を負わせた。逃げ出したマフィアのボスは殺し屋に捜査官11号の殺しを命令する。 一方、犬嫌いの郵便配達員ゴードンは隣人で思いを寄せるシングルマザーのステファニーの気を引くため犬のぬいぐるみを息子のジェイムズに持っていく。そして翌日、仕事で出かけるステファニーを説得して少しの間だけ息子の面倒を見ることにしたが、ベビーシッターがこれなくなり、翌日も世話をすることになってしまった。
「子供と犬」というファミリー向けの王道を行くハート・ウォーミング・ファミリー・コメディ。犬の芸達者振りには舌を巻くが、そのほかは適度に笑える上品なコメディというところ。
ファミリー向けといいながら、子供にこういうものばかり見せるのは、どうも親の欺瞞という気がしますね。子供のためというよりは、子供と一緒に見ても恥ずかしくないような映画を見る。それがファミリー向けということなのだと思います。こんな映画ばっかり見せられる子供はおそらくこの映画のジェイムズのような抑圧された子供になってしまうことでしょう。でも実際は子供は親に隠れて親が見せたくないようなテレビ番組を見ていたり、いろいろやっているわけですから、親といるときぐらいこういうぬるい映画を見て、親も機嫌よく、自分もそこそこ楽しめて、よかったよかったということになるというわけです。
というのが子供の気持ちなわけですが、映画を作る側としては子供が気に入るかどうかよりも財布を握っている親が子供と一緒に見たいかどうか(休日の一日をシネコンですごすときに見る1本として選ぶかどうか)を考えていると思うので、やはり親もそこそこ笑えて、エッチ系の下ネタが出てこないで(うんちネタは子供が喜ぶので入れてもいい)、ハッピーエンドで、大人にとっての子供像が崩れないで、かわいい子供と動物が出てくる映画がやはりいい。この映画はその条件にぴたりとはまるわけで、まさにファミリー向けコメディの王道。
だからまあ、もう子供でもなく、親でもない私が見ると、面白くもつまらなくもないわけで、見てもいいけど見なくてもいいみたいなものになってしまうのです。ハリウッド映画は最近とみにそのようなターゲットの細分化のようなものが進んでいるような気がします。この映画はファミリー、この映画はティーンズ、この映画は大人のカップル、などなど。そんな映画は大概面白くもつまらなくもない。しかし、つまらなくもないということが重要で、それでそこそこお客がはいって採算が取れてしまう。そんなからくりが透けて見えてきます。
なら、見なきゃいいじゃないか、ということですが、そんな作品群の中にもっとそれを越える可能性を持つものがたまにある。それを掘り出して、「こんなの見つけたぞ」と自慢するのが私のようなシネフィルの楽しみでもあるわけで、際限なく生産される面白くもつまらなくもない映画を見てしまうのです。