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フロム・ヘル

2003/6/1
From Hell
2001年,アメリカ,124分

監督
アルバート・ヒューズ
アレン・ヒューズ
原作
アラン・ムーア
エディ・キャンベル
脚本
テリー・ヘイズ
ラファエル・イグレシアス
撮影
ピーター・デミング
音楽
トレヴァー・ジョーンズ
出演
ジョニー・デップ
ヘザー・グレアム
イアン・ホルム
ジェイソン・フレミング
preview
 1888年ロンドン、赤毛の娼婦メアリと5人の仲間たちが立つホワイトチャペルでひとりの娼婦が喉をかき切られて殺されてしまう。ロンドン市警のアバーライン警部はアヘンを吸って幻覚を見ているところを部下の巡査部長に起こされ、捜査に着手する。アヘンによる幻覚によって事件を予知していた警部はこれとは違う殺人が起きることを予言し、これが異常な犯罪であるということに気づき始める…
 19世紀最大の謎の一つと言われる「切り裂きジャック」の事件に新たな解釈を与えたイギリスのコミックスの映画化。確かにその解釈の仕方は面白く、なかなかいい展開力を持っているが、展開が少々遅く、映画の全体が暗い感じなのところで一般受けはしない感じの作品。
review
 フォックス配給で、ジョニー・デップとヘザー・グラハムということはヒット狙いなのかという気もするけれど、結局のところどういう狙いで作られたのかがわかりにくい映画。ヒットを狙うならばもっと展開を早くして、ジョニー・デップに集中して、もう少し映画の雰囲気を明るくして、緊迫感あふれるサスペンスとしたかったところ。しかし、この映画は妙に19世紀のロンドンという雰囲気に固執し、ある種ミニシアター系のような雰囲気も出しつつという感じになっている。
 これは監督のヒューズ兄弟(双子)がプロデューサの期待にこたえ切れなかったからなのか、それとも兄弟のアーティストな感性がプロデューサによって押さえ込まれてしまったせいなのかはわからないが、そのせいでどうも中途半端な映画になってしまい、ヒットもせず、批評家からも評価されないという映画になってしまった気がする。
 確かに、19世紀のロンドンは暗かっただろうし、その暗さがこのような連続殺人を可能にしたのだろう。そのことはこの映画から十分に伝わってきて、だからこそ証拠がつかめず、さまざまな解釈が可能になったということもわかる。でも、だからといってそれを忠実に映画に押し込んで、わざわざ見にくい画面を作る必要はないと思う。コントラストを利用するとか、幻覚の部分は明るい映像にするとか、何らかの形でこの映画全体を包む「暗さ」を多少でも払拭できれば、さらりと見れる映画になった気がしてならない。
 おどろおどろしい雰囲気を作ることが目的だろうということで、塔がたくさん立っているロンドンの上からの画なんかはなかなか面白く、そこにこだわりのようなものも感じ、その「暗さ」のためにCGなんかを使ったさまざまな処理も使われ、時に面白い効果も生んでいる。

 サスペンスとしては、おそらく原作が面白いということだろうけれど、犯人にいろいろな可能性が残されたまま終盤まで行くので、結構おもしろい。やはりこういう犯人探しのサスペンスはそのオプションが最後までたくさんあったほうがいいわけで、その点ではこの映画はなかなかいい。終わり方もなかなか面白い感じで、終わってみるとそれほどドロドロした感じでもなく、ちょっといい話という感じもして、「悪くないかな」と思ったりもしました。
Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ2001年以降

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