おかしな二人
2003/6/25
The Odd Couple
1969年,アメリカ,105分
- 監督
- ジーン・サックス
- 原作
- ニール・サイモン
- 脚本
- ニール・サイモン
- 撮影
- ロバート・ハウザー
- 音楽
- ニール・ヘフティ
- 出演
- ジャック・レモン
- ウォルター・マッソー
- ジョン・フィードラー
- ハーブ・エデルマン
安宿の窓から飛び降りて自殺をしようと考えた一人の男、しかし窓は開かず、男は外に出る。一方ある家では男4人がポーカーの真っ最中、もう一人の男フェリックスをまっているがなかなか現れない。そこで家主のオスカーがフェリックスの家に電話をかけると彼の奥さんが離婚することにしたと告白した。自殺でもするに違いないとみんなが考えたところで、その男フェリックスがやってきた。
ジャック・レモンとウォルター・マッソーによる同題のTVシリーズを生むもととなったコメディ映画。二人のコンビネーションの妙がすばらしい。さすがコメディの名手ニール・サイモンによる脚本という感じ。
かみ合わない二人の男というのはコメディの設定としてかなり古典的なもの。古いものといえば「東海道中膝栗毛」の弥次喜多とか、そんなものも思い浮かぶし、いまでもちょっとした笑いの要素として欠かせない設定である。そのような古典的な設定ではなるけれど、古典的なものはやはり面白い。この映画の設定は限りなくだらしない男と限りなくきちんとした男。人の神経質さというのがイライラのもとになるというのはかなりわかりやすい話。
ということで、この映画はかなりわかりやすいコメディになり、しかもそれを演じているのが味わい深い二人の俳優ジャック・レモンとウォルター・マッソーとなるので、爆笑とは行かないけれどそこかしこに「ハハハ」と笑いが浮かんでくる。
それ以上は解説のしようがないわけですが、とりあえず目に付くのは時代性。ポーカーをする5人の男が囲むテーブルで黙々と立つタバコや葉巻の煙、その中でタバコを吸わないジャック・レモン、誰もがガサツで料理なんてまったくしない中、ひとり料理上手のジャック・レモン。わかりやすい「男」像が堂々とまかり通り、それにはまらないような男は「変人」的な扱いをされていた時代、そのような時代性がくっきりと浮かび上がってくる。(映画の世界を見る限りではアメリカではそれほど「男」像が変わっているようには思えませんが、そんな典型的な男像から外れても変人とは扱われない程度には変わっているような気がする。)
“古きよきアメリカ”というのもたまに見ると楽しくていいものです。男が情けないのは今も昔も変わらないようですが…