ハートブレイカー
2003/6/27
Heartbreakers
2001年,アメリカ,124分
- 監督
- デヴィッド・マーキン
- 脚本
- ロバート・ダン
- ポール・グアイ
- スティーヴン・メイザー
- 撮影
- ディーン・セムラー
- 音楽
- ジョン・デヴニー
- 出演
- シガニー・ウィーヴァー
- ジェニファー・ラヴ・ヒューイット
- レイ・リオッタ
- ジーン・ハックマン
- ジェイソン・リー
- アン・バンクロフト
結婚初夜に眠り込んでしまった花嫁、翌朝、新婚旅行に行く前に新郎は会社により、そこで事務員に誘惑され、ついつい… そこに花嫁が登場し、離婚となって花嫁は慰謝料20万ドルを受け取った。実はこれが結婚詐欺を生業とする母娘の仕業だった。娘のペイジは縛りの厳しい母親のマックスから逃れようと独立を持ちかけるが…
シガニー・ウィーヴァーとジェニファー・ラヴ・ヒューイットが結婚詐欺師の親子を演じるというロマンティック・コメディ。舞台はパーム・ビーチで出てくるのは金持ちばかりと、いかにも浮かれたアメリカン・ムーヴィーという感じでいい。
この映画はいいところと悪いところがはっきりしています。結婚詐欺師としてさまざまな方法で男をだまそうとするいろいろな方策やら、それに絡んだ話の筋やらは結構複雑に組み合わさっていて、笑いとして成り立っている部分も多くて面白い。それに対して、親子の関係とペイジの恋愛関係の話のあたりはあまり面白くない。映画全体としては中盤までは詐欺話が中心となるのでテンポもよく、かなり面白いけれど、後半に入ると恋愛話が中心となってきて、テンポが落ち、最後にその恋愛話に詐欺話が絡んできてまた少し面白くなって、最後は何とかまとめたという感じで終わる。
まず面白くないほうからいうと、ペイジの恋愛という話が前面に出てきてはいるけれど、基本的には子離れできない母親の話で、子供が離れていくという現実をいかに母親として受け入れるのかという話になっていると思う。しかし、ペイジがジャックに惹かれていく過程の描き方もいまいちだし、娘と母親の価値観の違いというものの描き方もはっきりとしないし、すべてがもやもやとしたまま話ばかりが進んでいく感じで、メリハリがない。
それに反して、詐欺話のほうはハプニング方の笑いが面白い。基本的にはシガニーがコメディエンヌの役割を負うわけで、べたべたよめよめのねたも多いけれど、シガニー・ウィーヴァーが演じるというところだけでもかなりの笑いを誘うし、相手役がジーン・ハックマン(しわしわ)とくれば、どう見てもバリバリのアクション映画な感じがコメディというところにすでに笑いの芽がある。なので、ロシア人のふりをしてロシアン・レストランにつれてこられて窮地に立つところとか、かなり無理があるネタでも勢いで乗り越えてしまうという感がある。
考えてみると、基本的にはシガニー・ウィーヴァーが詐欺話を担当し、ジェニファー・ラヴが恋愛話を担当して、映画の終盤まで行くのに、その二つの話が混じり合ったところで話がぐちゃぐちゃになってわかりにくくなっているという気がする。主人公ふたりが詐欺師であるという設定が恋愛/母娘話にも大きく影響を与え、そこですっきりとしない感じが出ているのかもしれない。
この話もかなりわかりにくくなっていますが、とりあえずまとめるとシガニー・ウィーヴァーは男に本気になって男に捨てられ、それで男を信用しなくなり、娘に同じ経験をさせたくないと思い、同時に娘を手放したくないと思い、娘のほうは自分は母親とは違うと考えて相手を愛することができると考えたけれど、母親はそれを受け入れられずに… やはり結局シガニーが子離れできない話だったけれど、唐突に娘を大人として認めてしまうから最後まで見てもなんとなくもやもやとしてしまうということなのでしょう。だからそこそこ笑えるところもあるけれど、全体的に見るとなんだかすっきりしない感じになってしまう。
これで、レビューもまとまったかな?