ブリジット・ジョーンズの日記
2003/7/9
Bridget Jones's Diary
2001年,アメリカ=イギリス,97分
- 監督
- シャロン・マグアイア
- 原作
- ヘレン・フィールディング
- 脚本
- ヘレン・フィールディング
- アンドリュー・デイヴィス
- リチャード・カーティス
- 撮影
- スチュアート・ドライバーグ
- 音楽
- パトリック・ドイル
- 出演
- レニー・セルウィガー
- ヒュー・グラント
- コリン・ファース
- ジム・ブロードベント
- ジェマ・ジョーンズ
32歳で独身のブリジットは新年を実家で過ごし、そこでのパーティーで幼馴染のマークを紹介されるがうまくいかず、タバコと酒の量と体重を日記につけ、恋人を見つけることを新年の目標とした。そして、そんな彼女が恋焦がれるハンサムな上司ダニエルについに声をかけられる。有頂天になったブリジットだったが、果たしてそのままうまくいくのか…
ヘレン・フィールディングのベストセラー小説の映画化。世界中の同世代の女性の強い共感を得て映画も大ヒット。撮影のために6キロの増量までしたレニー・ゼルウィガーはこの作品でアカデミー賞にノミネートされ、一気にトップ女優に。続編も製作される予定。
映画のタイトルは『ブリジット・ジョーンズの日記』となっていますが、あまり日記は重要な役を果たしていない。時々日記をつけているシーンが出てくるだけで、日記がストーリーを運んでいくわけではない。原作は読んでいませんが、きっと原作は小説そのものが日記の体裁を持っているのだと想像します。そして、そのほうが面白そうだ。
原作が日記だと断定すると、日記とはつまり完全な一人称の物語であるということ。出来事はすべて主人公であるブリジットから見たものに限定され、ブリジットの考えることも物語に濃く反映されていく。原作者のヘレン・フィールディングが製作・脚本の両方にかかわっているだけに、映画のほうもそれは非常に色濃く出ています。だからこそ同じような思いを抱えて生きている同世代の女性たちには圧倒的に支持される。まさに自分の分身が映画の中で生きて、ロマンスを経験し、人生に悩み、しかしがんばって生きている。それを見てはまらないわけがない。
ということですが、それは逆にそれにはまることの出来ない人にはあまり面白くないということも(当然)意味するわけで、男性からすれば「女の映画」ということになってしまうわけです。それなりに面白いけれどはまるほどではない。ということになってしまいます。ですが、私はなるべく自分が30代の女性だという気持ちになって見てみようと努力してみました。けれど、(当たり前ですが)なかなか難しく、勝負パンツをはくか締め付けデカパンをはくかというあたりで「なるほどなるほど」と思っただけにとどまってしまいました。
同じように30代女性を描いた作品としては『マーサの幸せレシピ』のほうが私にはぴたりと来た感じがしたんですが、その違いは何かといえば、『マーサ…』のほうがロマンティック度が高いということかもしれません。この『ブリジット・ジョーンズの日記』はどこかロマンティックさを失いつつあるブリジットという印象があるし、ブリジット自身が成長するわけではないというところにちょっと問題があるんじゃないかと思います。この映画を見て思うのは、映画の最初と最後で変わっているのはブリジットとその周りの人たちとの関係だけで、ブリジット自身の内面が変わっているわけではない。だから自分の分身として見ることの出来ない人には今ひとつ魅力的とは映らなかったんじゃないかと思います。『マーサ…』のほうは恋愛物語であると同時に成長する女性の人生の物語でもあるという点がロマンティックさに輪をかけてすばらしかったのだと思いました。
そう考えると、この映画ではブリジットよりもブリジットのお母さんのほうが魅力的なキャラクターなんじゃないかという気がします。もう老人にさしかかろうという年齢であるにもかかわらず、変化して行こうとする。そのあたりが面白い物語だなと思いました。ので、同じような話で続編を作るくらいなら、『ブリジット・ジョーンズのお母さんの日記』を作ってほしいなぁ、と思いましたとさ。