旗本退屈男 謎の大文字
2003/8/14
1959年,日本,109分
- 監督
- 佐々木康
- 原作
- 佐々木味津三
- 脚本
- 鈴木兵吾
- 撮影
- 松井鴻
- 音楽
- 万城目正
- 出演
- 市川右太衛門
- 北大路欣也
- 丘さとみ
- 東千代之介
- 小沢栄太郎
- 大河内伝次郎
- 益田キートン
- 青山京子
- 堺駿二
三日月傷の旗本退屈男こと早乙女主水之介は木場の彦六と肘鉄おきんをつれ、上方は京都に滞在していた。そこに上総藩主の使い堺田五郎衛門が訪ねて来た。三十三間堂で侍たちに囲まれていた2人連れの女性を救った主水之介は、宿に戻って堺田の頼みを聞き、江戸に戻ろうと考えた。しかし、昼間救った女性が宿で薩摩藩の話をしているのを聞いて、出発を取りやめ堺田も引き入れて事情を探ることにした…
おなじみ旗本退屈男シリーズの一作、舞台が京都だというところが珍しい感じはするが、ほかは特に変わりなく、ただキャストは豪華で時代劇映画ではおなじみの大御所が大挙出演している。
「天下御免の向こう傷」というフレーズでおなじみの旗本退屈男、もともとは小説で、このシリーズが映像化の先駆け、ストレートな『旗本退屈男』というタイトルの映画は1958年に撮られているが、このシリーズの最初の作品は(多分)1952年の『旗本退屈男 江戸城罷り通る』。
この作品はすでにシリーズ開始から7年も経ち、何作目かはわからないが、すでにパターンは固まっている感じ。主水之介と一緒に旅をする木場の彦六や肘鉄のおきんはほとんど紹介もなく登場する。しかし、初めて見ても特に問題はなく、他の時代劇のシリーズものと同じくあっという間になじめてしまう。
この旗本退屈男はTVシリーズにもなったし、完全に時代劇のパターンを踏襲しているので、「そんな奴知らん!」と思っている人でも、5分後にはすっかり馴染み、なんとなく見てしまう。しかし、他方では全くもって普通というか、新鮮味がないというか、最後まで大概の展開は読めてしまうという点もある。
時代劇のワンパターンというのは安心感とかわかりやすさを持っている反面、陳腐さとかつまらなさにつながってしまうのが常である。このシリーズも多分全体からずるとそんな感じなのだろうけれど、この作品に限っていうと、プロットがなかなか複雑というか、手の込んだ物語展開なので、ひとつの物語としても楽しめる。
とはいえ、何と言っても時代劇らしい時代劇、時代劇にしては面白いとか、展開が凝っているという程度に過ぎず、時代劇は古臭いからいやだとか、セリフの意味がよくわからんとか、アクションに迫力がないとか、そう言われてしまうと全くそのとおりで、結局のところ時代劇を見ようと思ってみる人にしか受け入れられないとは思います。
時代劇が好きならばとても楽しめる作品ではあると思いますが、時代劇はあまりというひとにはやはりあまり何じゃないかと思います。