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大殺陣 雄呂血

2003/8/27
1966年,日本,87分

監督
田中徳三
原作
寿々木喜多呂九平
脚本
星川清司
中村努
撮影
牧浦地志
音楽
伊福部昭
出演
市川雷蔵
八千草薫
藤村志保
藤岡琢也
preview
 水無月藩井坂道場に現れた岩代藩士樫山伝七郎を殺害した片桐万之助を守るため真壁半太夫は娘の許婚である小布施拓馬に罪をかぶって、1年間姿を消してくれるように頼んだ。御国のためと思って承知した拓馬は1年間を堪え忍んで上州に上っているはずの真壁を訪ねるが、真壁はその3ヶ月前になくなっていた…
 市川雷蔵主演による正統派時代劇、物語の展開も定番ながらなかなか面白いが、圧巻は題名にもなっているラストの十数分にわたる「大殺陣」。
review
 田中徳三といえば思い出すのは勝新の「悪名」シリーズで、基本的に時代劇を得意としているという印象。しかも市川雷蔵なので、時代劇がぴたっと来る。市川雷蔵の魅力はなんだろうかとこの映画を見ながら考えていて、一番はやはり甘いマスクということになるんだろうけれど、それだけでスターになれるわけもなく、もっと何か雷蔵が雷蔵たる所以があるんじゃないかと見ていたら、それはピッと伸びた背筋じゃないかということに気がついた。2本ざしで歩くときのその背筋のピシッと感、それこそが市川雷蔵が雷蔵たる所以なのではないかという気がした。
 ふつう、刀を抜こうとするときというのは相手に対して半身になって、背中が少し丸まるものだけれど、市川雷蔵はそのときにも背中をピシッとのばし、相手を見下すようにキッと視線を送る。その余裕のようなものがかっこよさと強さを演出しているのだろう。そういう演じ方をしているからこそ、どう考えてもありえないような最後の大殺陣も「ありえねーよ」と興ざめすることなく見ていられるのだと思う。

 というように、雷蔵に注目してみたわけは、この映画が非常にオーソドックスで、後半は話の筋がほとんど読めてしまうから。前半はなかなかよく練られていて「どうなるのか」という興味ももてるけれど、すべての舞台装置が出揃った後半には物語の転がり方は90パーセントがた見えてしまう。なので、ハラハラドキドキ見るというよりは、スター雷蔵にしびれるという見方がいい。作り手の側もそういう観客の反応を狙っているからこそこのような展開にして、最後に目玉の大殺陣を持ってきたのだろう。
 この映画はつまるところスター雷蔵がスターであることを証明するというか、スター雷蔵だけで映画ができてしまうことの証明といった感じで、映画的な魅力としては『陸軍中野学校』みたいな作品のほうが面白いけれど、これはこれでいいのではないでしょうか。
Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: 日本60~80年代

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