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朱雀門

2003/8/28
1957年,日本,101分

監督
森一生
原作
川口松太郎
脚本
八尋不二
撮影
宮川一夫
音楽
斎藤一郎
出演
市川雷蔵
若尾文子
山本富士子
東野英治郎
小沢栄
柳永二郎
preview
 幕末、孝明天皇の妹和の宮と有栖川の若宮と婚礼が進もうとしていた。和の宮の侍女夕秀の父は陰陽師である熊の倉友房、野心深い熊の倉は幕府が公武合体を狙い和の宮を将軍に下賜させようと狙っているのを利用して自らの地位を高めようとしていた。
 宮家と将軍家の思惑が交錯する幕末を舞台に、権謀術策渦巻く政治の舞台裏とそれに巻き込まれる恋の行方を描いたサスペンスであり、メロドラマであるという骨太のドラマ。市川雷蔵に若尾文子、山本富士子と出演陣も豪華、宮川一夫の映像も美しい。
review
 宮川一夫の撮影ということでいやがおうにも映像に注目してしまうわけだが、その期待通りに映像はすばらしい。当たり前のように美しい映像なので、何がどう美しいということは説明するべくもないが、色合いのバランスがなんといっても最高。それが一番よく現れているのが山本富士子演じる夕秀の衣装である。宮である若尾文子よりも侍女である山本富士子の衣装のほうが衣装が凝らされているというのもなかなか面白いが、この色合いがとにかく美しい。
 このころは山本富士子はすでにトップスターだが、若尾文子はまだ若手、映画の設定上では若尾文子のほうが地位が上でも、扱いとしては山本富士子が上ということなのか、いろいろ推測してしまいますが、この時代の女優さんたちについてはいろいろ考えると面白いものです。

 ということで、映像と女優さんを見ているだけでもなかなか楽しめるわけですが、プロットもなかなか練れていて面白い。先ず幕末という時代設定が複雑なプロットを可能にする。基本的には宮家からの視点だが、天皇側も内部で分裂し、陰陽師熊の倉が絡んで複雑な展開を見せる。サスペンスというわけではないけれど、展開がどうなっていくのかというのにハラハラできる。しかもそのプロットが政治的なものだけではなく、もう一つの中心である恋愛のほうにも絡んでくる。恋愛のほうのドラマは意外とシンプルでそれほどドロドロとはしないのだけれど、政治的なものと恋愛とが絡むことで生まれる複雑さがなんといっても面白い。
 主役は市川雷蔵ということだけれど、よく考えて見るとあまり主役然としたところはなく、ある意味では群像劇とでも言いたくなるような展開をする。本当に主役といえるのは市川雷蔵よりも若尾文子と山本富士子の2人の女優、政治という男の物語でありながら、それをも動かしかねない女たちを主役にすえたところにこの映画の面白さの秘密があるのかもしれない。表で動く男たちの陰には常に彼らを左右する女たちがいるのだということを認識させられるし、それを演じる2人の女優が何と言っても見事なのだ。
Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: 日本50年代以前

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