スター・トレック
2003/9/17
Star Trek - The Motion Picture
1979年,アメリカ,132分
- 監督
- ロバート・ワイズ
- 原案
- アラン・ディーン・フォスター
- 脚本
- ハロルド・リビングストーン
- 撮影
- リチャード・H・クライン
- 音楽
- ジェリー・ゴールドスミス
- 出演
- ウィリアム・シャトナー
- レナード・ニモイ
- デフォレスト・ケリー
- パーシス・カンバッタ
- スティーヴン・コリンズ
帝国の領域内でクリンゴンの強力なパトロール艇が何者かに襲われて消えうせてしまった。その知らせを受けたサンフランシスコの司令部ではその謎の“雲”が地球の方角に向っていることを突き止め、エンタープライズ号に迎撃の命令を下す。改造が終わったばかりのエンタープライズ号にはデッカーが館長として乗ることになっていたが、カーク提督が急遽船長に復帰し迎撃に向うこととなったが…
大ヒットしたTVシリーズのあとを受けて製作された『スター・トレック』の映画版第1弾。TVシリーズ終了から数年後という設定でおなじみのメンバーが活躍する。
人間と機械の対立というのはSFにとっての永遠のテーマの一つである。機械が心を持ちうるのか、というのも一つのテーマである。この映画は基本的にTVシリーズを前提としていて、映画から察するところによるとTVシリーズの段階で「裏銀河」(ブラックホールの向こう)には機械の生命体がいて、意識を持っているということが前提とされているらしい。その上で人間と機械の関係を考えているわけだが、考え方としてはかなり古典的なもので、機械のほうが力(あらゆる意味での物理的な力)は強いが、論理的なものにとらわれてしまう。それに対して人間には論理を越える力がある、ということを言う。SFモノの元祖の一つなので古典的な考え方をとるのも当たり前という気もするが、もうちょっと深みが欲しいという気もした。
というのも、この映画は長い。プロットの展開はなかなかうまく(初めてみたヒトなら)かなり楽しめるのもなのだが、それでも長い。というのは映画のテンポが悪いというか、なんとなく間延びした感じがしてしまう。おそらくTVシリーズを見込んでいる人ならば、会話に上っている話題やら人間関係やらの前提が理解できているので、その行間を読むことができるのだろうけれど、たいしてTVシリーズを見ていないとなると、一体何のことを言っているのかわからず、結局不必要な間のように感じてしまう。
なので、独立した映画として万人に向けて売り出すならば、その間をもっと哲学的というか、SF的に深みのあるテーマで埋めて、観客を考えさせるほうがよかったのではないかと思う。
なんだか『スター・トレック』が『スター・ウォーズ』と比べてマニアックなイメージが付きまとうのは、こういった映画の作りかたにあるのかもしれない。最初から見ていないとわからないことがいろいろあって、それを見れば見るほど後のほうの話が面白くなっていくというような感じ。
それは、ある意味で「マニア」というものをはじめて生み出したということもあると思うが、逆にマニア以外の人を寄せ付けないということでもあるような気がする。『スター・トレック』も『スター・ウォーズ』もメジャーなSFのシリーズものだが、それが向いている向きはまったく正反対ともいっていいのかもしれない。『スター・トレック』はマニアを囲い込んで、細く長く、しかし深くという感じ。『スター・ウォーズ』はとにかく老若男女だれもが楽しめる作品を目指し、万人向けのスペクタクル(エンターテインメント)超大作を時々ドカンと作る感じ。
私は内容はともあれ『スター・トレック』のやり方のほうが面白いと思うのですが、どうでしょう…