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ムーンライト・マイル

2003/9/24
Moonlight Mile
2002年,アメリカ,116分

監督
ブラッド・シルバーリング
脚本
ブラッド・シルバーリング
撮影
フェドン・パパマイケル
音楽
マーク・アイシャム
出演
ジェイク・ギレンホール
ダスティン・ホフマン
スーザン・サランドン
エレン・ポンピオ
ホリー・ハンター
preview
 1973年マサチューセッツ、ジョーは婚約者ダイアナの家で過ごし始めて3週間になった。しかしその間にダイアナが殺されるという事件が起き、葬儀を迎えた。一人娘を失ったベンとジョージョーを慰めながら、彼らに実はダイアナと3日前に関係を解消していたということを言い出せない彼は、結婚式の招待状を回収に行った郵便局でバーティーという一人の女性と出会う。
 監督のシルバーリングが恋人のレベッカ・シェイファーを殺人事件によって失った経験とその後の恋人の家族との交流がこの物語のヒントになっているらしい。思いいれもあってか非常によく練られた脚本で、脚本がとてもいい。それを実力派の俳優がしっかりと演じ、地味ながらも見ごたえのあるドラマに仕上がっている。
review
 この映画は本当に脚本がいいと思う。登場人物たちの心理的な展開を静かにしかしじっくりと描く。一応ジョーが主人公で、脚本家/監督の写像でもあるわけだけれど、その主人公は物語の中心であるだけで映画の中心ではない。映画を動かす心理的なストーリーは主人公の周りの人たち(特にベンとジョージョーとバーティー)にも均等に割り振られ、その4人の物語のバランスのよさが映画全体の展開を味わい深いものにしているということができるだろう。

 セリフ(=言葉)で伝わることはあまりにも少ない。言葉よりも表情や身振りやさまざまなものによって伝わることのほうが多い。説明をするならば言葉のほうが簡単だ。物語とはそもそもは言葉によってつむがれていくものである。しかし、映画とは言葉によって作られたものではなく、映像によって作られたものであった。だから、本物の映画というのは言葉ではなく映像によって物語る視覚的な物語でなければならない。
 もちろん、言葉ではなく映像で物語ろうとすると、それには大変な苦労が伴う。映像の捉えかたは言葉の捉え方よりもさらに見る者によってぶれがあるからだ。作り手が自分の伝えたいことを映像によって伝えようとする場合、それを正確に伝えることは非常に難しい。周到に用意された道具類、役者の演技、観客を引き込む舞台装置、それらがあって初めて物語が成立しうる。
 前にどこかのB級映画のところに描いたと思うが、B級映画というのは物語をとかく言葉で説明しがちで、そのあたりが安っぽい印象を与えるのだ(もちろん、そんな安っぽさにもかかわらず他の部分に独特の面白さがあるわけだが)。そう考えるとこれはいわゆるA級映画と呼べるものなのだろう。そのためにダスティン・ホフマン、スーザン・サランドン、ホリー・ハンターというしゃべらずに語ることができる名優が並んでいるのだ。

 なので、決して派手ではなく、はらはらドキドキするような「おもしろさ」はなくとも、この映画は非常に映画らしい映画であって、それはきっと面白い映画なのだと思う。見ておいて「面白い映画なのだと思う」という書き方もおかしいとは思うが、この映画が面白いかどうかはあくまでも見る側によるという感は否めないのだ。しっかりと出来てはいるが、「面白い!」と単純に思えるには複雑すぎる。うまく出来ているがゆえに誰か一人に感情移入することは困難で、映画に浸るというような見方をすることは難しいのだ。だから非現実を体験できるという映画の面白さはなく、そのような面白さを求める観客にとってはまったく面白くない映画になりかねないというわけだ。サスペンスでも、ラブ・ストーリーでも、ファミリードラマでも、友情物語でもない。そのようなヒューマン・ドラ
マを果たして面白いと思えるのか?
 そう考えると、この映画はいい映画ではあるけれど、ヒットはしないし、見られにくい映画であるのかもしれない。
Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ2001年以降

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