アンラッキー・モンキー
2003/9/26
1997年,日本,106分
- 監督
- サブ
- 脚本
- サブ
- 撮影
- 栗山修司
- 音楽
- 岡本大介
- 出演
- 堤真一
- 清水宏
- 山本亨
- 吉野公佳
- 寺島進
- 六平直政
- 大杉漣
相棒と2人で強盗のために銀行へと向う詐欺師の男、マスクをかぶり、武器をもって銀行へと向ったその時、銀行からマスクをかぶった男が逃げてきた。が、男は車に引かれ、相棒も車に引かれて、現金の入ったかばんは男の手元に。男はとにかく走って逃げ、うまく警備員をまくことに成功するが、安心したその時、うっかり通りすがりの女を刺してしまう…
サブの3作目の監督作も得意の巻き込まれ型クライムアクション。出演者もいつもの出演陣で、安心して見られる反面、目新しさに欠け、退屈になってしまった間は否めない。
サブ監督の作品を見るのは3本目だが、この映画を見ていると、そのほとんどのシーンに既視感がある。出ている人も同じだし、物語の展開も似たような感じ、一人の男が犯罪を犯して、追われて、そこにやくざが絡んできたりして、とにかく逃げて…、と3本目にして既にマンネリという感があるのは相当重症ではないかと思う。堤真一はかなりいい演技をしているし、この世界にはぴたりとはまっているとは思うが、彼を含めて脇役に至るまで出演者がいつも同じ。などなど、マンネリ間は否めないが、この作品を見てそんなマンネリ間を感じてしまうのは、これが作品としても他の作品と比べてちょっと面白くないんじゃないか、という気がするところにあるかもしれない。
展開も最後のほうまで読めてしまって意外性がないし、画面も全体的に暗くてポップさに欠ける。物語の核となっていると思われる主人公の罪悪感というのもどうも迫ってくるものがない。この映画の目新しさ、面白さというと、ビデオパッケージにもなっているマスクの面白さくらいだろうか。
マンネリというか、これはいいほうのサブらしさとでも言うべきものといえるが、サブ監督の作品はとにかくローアングルのショットが多い。それも、ローアングルでカメラが動く。この映像が作り出す疾走感というのは彼の作品に命を与える大事な要素であると思う。この作品がマンネリ間ばかり感じさせ、疾走感のようなものを感じられなかったのも、このローアングルのショットがあまり効果的に使われていなかったせいなのかもしれないと思った。
ショットだけで自分なりの「味」が出せるというのはとてもいいこと、というか作り手としては非常にやりやすいことだと思うので、同じストーリーや同じ出演者に固執せず、がらりと違う物語を違う出演者で撮ってみたほうが面白い作品が出来るのではないかと思った。