クールボーダー
2003/11/26
Out Cold
2001年,アメリカ,89分
- 監督
- ブレンダン・マロイ
- 脚本
- ジョン・ザック
- 撮影
- リチャード・クルード
- 音楽
- マイケル・アンドリュース
- 出演
- ジェイソン・ロンドン
- リー・メジャース
- A・J・クック
- カロリーヌ・ダヴェルナ
- ザック・ガリフィアナキス
アラスカのブル・マウンテン、昔ながらの素朴なスキー場で働くリックと仲間たち。彼らはスキー場の創設者パパ・マンツの意思をついで、酒を飲みながらゲレンデを滑り降りていた。リックは2ヶ月前にカンクンにバカンスにいったときに出会い、3週間をともに過ごしたアンのことを忘れられず、ずっと落ち込んでいた。そんなブル・マウンテンがリゾート開発のメイジャーの手に渡ろうとしていた。リックたちは変化を受け入れる一方で、その開発にどこか胡散臭さを感じてもいた…
スノーボードを題材にした流行もののコメディ映画。超絶のボードテクニックを見せるシーンも織り交ぜられ、ボード好きにはたまらない作品。コメディとしては並みレベル。
コメディとしてはそう面白くはない。映画の冒頭に出てくるパパ・マンツのキャラクターがなかなか強烈で、いけるかなとも思わせるが、イマイチそのパパ・マンツの感性が生きてきていない気がする。それはおそらく、映画として上品に仕上げようという意識が働いてしまったからだろう。この映画は表面的にはお下劣なネタを振りまいているように見えるが、実は非常に気を使って見る人に不快感を与えないように出来ている。とくに、差別に対して非常に敏感で、アフリカ系の登場人物も出てきて(アラスカなのに!)、ボードが下手だという設定だが、別にそれが差別につながるわけもなく、肌の色を感じさせない物語展開に持っていく。さらにはゲイ、ハンディキャップド(身体障害者)にも言及されていて、そういった人たちに対する差別意識がないよ、ということがメッセージとして伝わるように仕組まれている。
これはもちろん悪いことではないし、差異を笑いにし、ある意味で差別を助長してきたコメディというジャンルがそのことに意識的になるという点ではいいことであると思う。しかし、そういったことをことさらに表に出した上でそれ以外の何で笑いをとるのかということがコメディ映画としては重要なことで、そこに映画を作る側のコメディアンとしての才覚が試されるわけだが、この映画はそれでも結局のところ下ネタに頼ってしまう。ファミリー向けであることを意識してか、セックスにかかわるネタは極力抑えているにもかかわらず、ここぞというところは下ネタなのだ。どうもこの辺りのバランスの悪さが、居心地の悪さにつながり、面白いはずのネタも笑えないような雰囲気を作り出してしまっている。それがコメディとしてはイマイチという感じを作り出してしまう原因なのではないだろうか。
コメディ以外の部分ではボーダーたちのすごいボーディングを見るしかなく、確かにそのシーンはリズム感も映像の作り方もなかなか上手で、ついつい見とれてしまうくらいの出来ではあるが、ボードに興味がなければやはりイマイチ入ることは出来ないだろう。そこに興味ももてず、笑いもイマイチということになると、どうも今ひとつ乗りどころがない映画になってしまう気がする。