バイオハザード
2004/2/2
Resident Evil
2001年,ドイツ=イギリス=アメリカ,101分
- 監督
- ポール・W・S・アンダーソン
- 脚本
- ポール・W・S・アンダーソン
- 撮影
- デヴィッド・ジョンソン
- 音楽
- マリリン・マンソン
- マルコ・ベルトラミ
- 出演
- ミラ・ジョヴォヴィッチ
- ミシェル・ロドリゲス
- エリック・メビウス
- ジェームズ・ピュアフォイ
- マーティン・クルーズ
細菌兵器を開発するビルに何者かが忍び込み、最近をばら撒いた。その直後、ビルで働いていた人々は、エレベータで、あるいはガスで、あるいは水で殺されてしまった。
一方、古びた屋敷のシャワールームで目覚めた女は記憶を失っていた。記憶をたどるように屋敷を歩いていると突然武装した特殊部隊が現れた。わけのわからないままに特殊部隊の一員だと告げられた女は彼らと主に地下深くに降りてゆく。 日本の人気ゲームソフト「バイオハザード」を『ソルジャー』のポール・W・S・アンダーソンが映画化。なんといっても主演のミラ・ジョヴォヴィッチが繰り広げるアクションが見所。
この映画は、非常にわかりやすい。見ればそれがそのまま映画であるのだ。それをわかりにくくいえば、イメージと実体が完全に一致しているということか。あるいは、すべてがイメージによって築かれているというべきか。とにかく、舞台となる「ハイブ」は化学兵器を製造する企業の秘密研究所であり、秘密研究所というイメージどおりに地下に作られ、そこではイメージどおりに違法な研究が行われている。そしてイメージどおりに国の中枢部からの影の支援があるのだろう。
ハイブに潜入する特殊部員たちはイメージどおりに完全に任務に忠実である。彼らが果たそうとするのは任務と自分の命を守ることである。そこに入り込むアリスはイメージどおりその特殊部隊の中では異質なものとなる。しかし彼女はヒロインである。
そのようなイメージ群の行き着く先にあるのは「巨大な悪に立ち向かう少数の善」という図式である。基本的には勧善懲悪だが、悪は強すぎて善はなかなか勝つことができない。このようにすっきりと図式に入り込む映画はある意味で完璧なエンターテインメントである。確立されたイメージの群れに浸りながら、誰が敵で誰が味方なのか、この苦境をいかに乗り切るのか、というさまざまな障害に能動的に反応することで、簡単に主人公に自己を投影でき、「巨悪に立ち向かう善」である自分が悪を打ち倒していく経験を追体験できる。これがエンターテインメントでなくて、何がエンターテインメントなのか。
エンターテインメントに徹することも映画としてはひとつの道である。エンターテインメントを徹底的に追求した映画は観客を爽快な気分にさせるし、それは観客が映画に求める要素のひとつであるはずだ。だから、この映画はいい。とてもいい映画だと思う。2時間弱の別世界へのトリップ、それを実現してくれる映画はそう多くはない。終わり方からすると明らかに続編が作られそうな感じだが、その続編もエンターテインメントに徹すれば期待できると思う。
ちなみに、ポール・W・S・アンダーソンは『マグノリア』の監督ポール・トーマス・アンダーソンとは関係ありません。