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キス★キス★バン★バン

2004/2/5
Kiss Kiss (Bang Bang)
2000年,イギリス,101分

監督
スチュワート・サッグ
脚本
スチュワート・サッグ
撮影
ジム・クラーク
音楽
ジョン・ダンクワース
出演
ステラン・スカルスガルド
クリス・ペン
ポール・ベタニー
ジャクリーン・マッケンジー
アラン・コーデュナー
マルティン・マッカチョン
preview
 長年殺し屋をやってきたフィリックスは新人のジミーの研修を行いながら、自身の限界を感じていた。殺し屋のクラブに赴き引退を宣言したが、クラブを仕切るビッグ・ボブは認めない。それでも新しい仕事を探していたフィリックスが知り合いの密輸業者から頼まれたのは33年間家から出たことのない息子ババの世話だった…
 どことなく懐かしさを感じさせるイギリスらしいコメディ。主演はスウェーデンの名優ステラン・スカルスガルド、共演にショーン・ペンの弟クリス・ペンとキャストも渋め。
review
 この映画の意識は完全に60年代か70年代辺りに向いている。舞台となっている時代はおそらく現代なのだと思うが、描こうとしている対象はどう見ても現代ではなく昔のふんいきである。そのためかすべてが昔に向いている。引退をしようという殺し屋のフィリックスとはつまり過去、殺し屋が格好よかったころを象徴する人間である。だから彼は今もレトロな拳銃を使う。そんな彼に対して他の殺し屋たちはどうにもうだつのあがらない失業者とそう変わらないなりをしているのだ。“クラブ”と名付けられた殺し屋たちの溜まり場もクラブとは名ばかりのおんぼろの工場だし、殺し屋としてもスマートとはいいがたいやつらなのだ。
 その中でフィリックスの最後の教え子となったジミーはむかしの雰囲気を持っている。古きよき時代を懐かしみ、殺し屋としてのダンディズムを追及する。そんな男なのである。つまり、彼こそがこの映画の視点であり、彼の古きよき時代を懐かしむ視点をこの映画は共有しているといえる。
 そしてさらに、ババも過去から現れたノスタルジックな存在である。33年間家を出たことがない彼はつまり33年前をそのまま継続的に持っている人間であるといえる。そのころから全く成長していない彼は、現代に降り立った70年代の赤ん坊なのである。だから彼が身につけているものも持っているものも古臭い。そしてフェリックスが教える「大人の男」というのも古臭い。
 しかし、そんな70年代が今“おしゃれ”であるということで、この映画もなかなか魅力的なものになる。まず音楽がそうである。バリー・ホワイトがいま“おしゃれ”かどうかはわからないが、テーマ曲はいかにも60年代風の曲で、非常におしゃれ。音楽を担当するジョン・ダンクワースは60年代に『唇からナイフ』をはじめとした映画音楽を担当した人なので、まさに的を得た人選であるといえる。このジョン・ダンクワースはこの作品と同じ2000年に製作され、主演がこの作品でジミーを演じているポール・ベタニーの『ギャングスター・ナンバー1』の音楽も担当してる。これまた1970年前後のロンドンを舞台にした映画なので、そんな人選になったのだろう。
 つまり、おそらく1970年辺りというのが、ロンドンでは“おしゃれ”で、それにうまく乗っかった映画ということになる。なので、内容云々よりも、雰囲気を楽しんで、時々クスリと笑えればそれでよし。ならば、合格点という映画。
 ちなみに、『キス★キス★バン★バン』という題名はジェームス・ボンドの愛称が「ミスター・キス・キス・バン・バン」(「女にはキス、男には銃口」という意味)であったことから来ているらしい。これまた60年代を感じさせるエピソードである。
Database参照
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国別・年順: イギリス

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