マッチスティック・メン
2004/2/12
Matchstick Men
2003年,アメリカ,116分
- 監督
- リドリー・スコット
- 原作
- エリック・ガルシア
- 脚本
- ニコラス・グリフィン
- テッド・グリフィン
- 撮影
- ジョン・マシソン
- 音楽
- ハンス・ジマー
- 出演
- ニコラス・ケイジ
- サム・ロックウェル
- アリソン・ローマン
- ブルース・マッギル
- ブルース・アルトマン
詐欺師のロイは潔癖症と広場恐怖症で毎日薬を飲みながら、相棒のフランクと詐欺を続けていた。ある日、うっかり薬を流してしまったいつも薬をもらっている医者が夜逃げしたことを知る。部屋を掃除して何とか持ちこたえていたが、ついに耐え切れなくなり、フランクの紹介する分析医にかかる。そして娘がいると知ったロイが別れた妻の家の近くに行き、14歳の娘アンジェラと出会う…
『グラディエーター』『ハンニバル』などのリドリー・スコットがニコラス・ケイジ主演でクライム・サスペンスの小片を撮った。原作は人気作家エリック・ガルシア。予備知識がないほうが面白く見られます。
リドリー・スコットがこんなに小気味よい映画を撮ったのは久しぶりという気がする。出世作が『エイリアン』と『ブレードランナー』ということで、SFを中心とする大作のイメージが強いが、実は初めてアカデミー監督賞にノミネートされたのは『テルマ&ルイーズ』なので、小片でも実力を発揮するはずである。
この作品もそんな小品なわけだが、全体としてみるとなかなか面白い。その面白さのすべては「仕掛け」にある。映画自体が詐欺師を主人公とした「騙す」物語であり、主人公のロイは「向こうがくれるんだ」というほどの詐欺の名人であるという設定である。なので、ひとつの詐欺を中心としたサスペンスフルな物語になっていくのかと思わせるが、そう素直には進まない。
主人公が精神的な病を抱えているという設定がなかなか面白く、そこから会ったことのない自分の娘に出会うという展開になって、物語はがらりと変わる。 それによって、これは詐欺師の物語である以前に一人の人間/父親の物語になる。そして、主プロットはするりとすりかわり、不思議な展開を見せていくことになる。娘という問題とひとつの大きな仕事というもうひとつの問題、この二つがプロットの両輪になりながら展開されていく物語はなかなか面白い。
*見てない人はここまで読んで、暇なときに題名を思い出してレンタルビデオ屋で借りましょう。ここから先は読まないほうが映画を楽しめます。
なんとなく私が口ごもっているのは、この物語がやはり詐欺師の物語であったからである。その内容を書いてしまうと、この映画の面白さの8割がたが失われてしまうので書くわけにはいかない。とにかく、途中少々だらけるが最後まで見れば、やはりそれなりに面白いということだ。それにはなるべく予備知識がないほうがいい。一度見て面白ければそれでいい。これはそんな作品だ。ちなみに、14歳の娘役のアリソン・ローマンは実は24歳。なるほどね。