更新情報
上映中作品
もっと見る
データベース
 
現在の特集
サイト内検索
メルマガ登録・解除
 
関連商品
ベストセラー

三十四丁目の奇蹟

2004/2/19
Miracle on 34th Street
1947年,アメリカ,96分

監督
ジョージ・シートン
原作
ヴァレンタイン・デイヴィス
脚本
ジョージ・シートン
撮影
チャールズ・クラーク
ロイド・エイハーン
音楽
アルフレッド・ニューマン
出演
エドマンド・グウェン
モーリン・オハラ
ジョン・ペイン
ナタリー・ウッド
ジーン・ロックハート
preview
 メイシーズのクリスマスパレードにサンタクロースそっくりの老人がやってくる。その老人は行列のサンタが酒によっていることに起こり、パレードの責任者に告げる。責任者のドリスはサンタ役を解雇してその老人クリスにサンタクロースをやってくれるよう頼む。そしてクリスのサンタは評判を呼び、クリスはメイシーズに雇われることに。
 ただのクリスマスの夢物語で終わらないサスペンスフルな展開が面白いクリスマス映画の名作。展開にハラハラ、最後には感動という脚本が非常に巧みで、アカデミー脚色賞も受賞。ちなみに子役の女の子は後に『ウェストサイド物語』で主役を張ることになるナタリー・ウッド。
review
 非常に素朴な話である。しかし話はよく練られている。クリス・クリングル氏は最初、名前すらないただサンタクロースに似ただけの老人として登場する。なんとなくサンタクロースになりきっているということはわかるが、自分がサンタクロースであると声高に主張することはしない。しかしその心はクリスマス精神にあふれていて、それがにじみ出てくる。その暖かな謎が映画を包み込み、すっと映画に入ることができる。
 そしてドリスとスーザンの母娘と弁護士フレッド、その誰もが穏やかに登場し、スムーズに物語に乗っていく。さらにいろいろな脇役の人たちが登場し、そこにはさまざまな摩擦や衝突が生じはするのだけれど、それは映画の物語を面白くするだけで、決して深刻になったりはしない。
 それはなぜかといえば、クリスマスの主役はやはり子供たちであり、登場する人々の誰もが子供たちのことを大切に思っているからである。だから、結局のところクリス・クリングル氏が本当のサンタクロースかどうかなどということはどうでもいいことなのだ。クリングル氏が言っているようにみんながクリスマス精神を取り戻しさえすれば、それでいい。サンタクロースは決して自分がサンタクロースだと認めてもらいたいとは言わないだろう。クリスマスは心の問題だというのと同じく、サンタクロースも心の問題なのだ。サンタクロースが物理的に存在するかどうかは問題ではなく、結果的にサンタクロースがいると子供たちが信じることができるような心の持ちようでみながいることが大切なのだ。と、思うことができる。

 映画の展開は穏やかで、素朴で、今の映画から見ると恐ろしく刺激にかけることは確かが、逆にこの映画のように始終かすかな笑みが口元に浮かぶ映画というのは今となっては貴重なのだ。優しい気持ちで、それこそ自分がサンタクロースになったような気持ちで画面を眺めることができる。子供たちはもちろんのこと、メイシーズの社長のことも、判事のことも、政治家のことだって穏やかな気持ちで眺めることができる。彼らだってサンタクロースにしてみれば子供みたいなものなのかもしれない。
 そんな風な映画だから、クリスマス映画ではあってもまさにクリスマス・イヴという日に見るよりは、その一週間前とかに見て、穏やかで優しい気持ちになってからクリスマスまでの時間をすごしてみるといいかもしれない。
 『三十四丁目の奇跡』という題名ではあるけれど、果たして奇跡は起こったのか?何を奇跡と考えるかにもよるけれど、私はこの映画はいわゆる奇跡を描いたものではないと思う。みながクリスマスの心持になれば(そのこと自体が奇跡といえるのかもしれないけれど)、奇跡に様なことはいくらでも起きる。この映画を見たら、そんな気持ちにすらなってしまう。
Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ50年代以前

ホーム | このサイトについて | 原稿依頼 | 広告掲載 | お問い合わせ