ブルー・ストリーク
2004/6/8
Blue Streak
1999年,アメリカ,94分
- 監督
- レス・メイフィールド
- 脚本
- マイケル・ベリー
- ジョン・ブルメンタール
- 撮影
- デヴィッド・エグビー
- 音楽
- エドワード・シェアマー
- 出演
- マーティン・ローレンス
- ルーク・ウィルソン
- ウィリアム・フォーサイス
- デヴィッド・チャペル
- ニコール・アリパーカー
- リチャード・C・サラフィアン
宝石泥棒のマイルズは金庫から見事に2千万ドルのダイヤモンド“ブルー・ストリーク”を盗み出した。しかし、逃げるときに仲間の裏切りにあい、警察に追い詰められる。マイルズはとっさに工事中の建物の排気ダクトにダイヤを隠して、警察に捕まった。2年の刑期を勤め上げ、いよいよダイヤを回収しようとその場所に向かうと、そこにはロサンゼルス市警が建っていた…
マーティン・ローレンス主演のアクション・コメディ。いかにもロサンゼルスという感じの能天気な雰囲気が楽しい。
ハリウッド映画に底が見えないのは、こんなべたべたな話も面白くしてしまう力を持っているからだと思う。逆に、製作費数百億円なんて大作は、迫力はあっても、見るものの予想を上回ることはない。しかしこんな小さな映画はわれわれの期待を上回る面白さを発揮することがままある。
この映画の物語は、宝石泥棒が宝石を隠した建築現場に警察署が建っていたなんていう、コントのような設定で始まる。そして、その泥棒が警官に成りすまし、ばれまいと操作に参加してうまい具合に犯人を逮捕してしまったりするわけだ。
こんな牧歌的な話がありえるはずはないのだが、そんな疑問を抱かせながらも「まあ、いいか」と思わせてしまう。それはこの映画とマーティン・ローレンスのテンポのよさであると思う。この映画と『ビバリー・ヒルズ・コップ』とが、設定はむしろ逆であるのに似ていると思えるのは、このマーティン・ローレンスがエディー・マーフィーを彷彿とさせるからだ。
もちろんエディ・マーフィーのほうがテンポも速いし、格好もいいが、映画全体のリズム感を捉えてみると、なんとなく似ているような気がする。
そのエディ・マーフィーとマーティン・ローレンスはこの映画と同じ1999年に製作された『エディ&マーティンの逃亡人生』で共演しているが、1992年にすでに『ブーメラン』で共演している(マーティンは端役)。
さらにエディ・マーフィーは『ナッティ・プロフェッサー』でいろいろな太った人に特殊メイクで化けたが、マーティン・ローレンスも『ビッグ・ママズ・ハウス』で太ったおばあさんに特殊メイクで化けている。マーティン・ローレンスは多分サタデー・ナイト・ライブ出身ではないと思うのだが、どうしてかエディ・マーフィーの後を追うように活躍の場を求めているように思えるのだ。
だから、この映画がどこかで『ビバリー・ヒルズ・コップ』を思い出させるというのも当然ということなのかもしれない。テンポのいいギャグで笑いをとるが、アクションも本格派。そして、ハートフルな人情話も忘れない。こういうB級映画(というほど小規模の映画でもないが)をハリウッドは無数に作り、そのうちの数パーセントがこの映画のようななかなか面白い映画になる。それこそがハリウッドの懐の深さであると思う。出来上がりのレベルにある程度の予想がついてしまう超大作よりも、これくらいの規模の映画のほうが私は好きだ。
マーティン・ローレンス主演だからといってどれもが面白いだろうとは思わないが(そのあたりもエディ・マーフィーに似ている)、いくつかはあたりがあるだろうと思うので、それを見つけるために何本か見てやろうという気にはなる。とりあえずは『エディ&マーティンの逃亡人生』かな。