アタック・オブ・キラートマト 完璧版
2004/7/15
Attack of the Killer Tomatoes ! : Director's Cut Version
1978年,アメリカ,90分
- 監督
- ジョン・デ・ベロ
- 脚本
- ジョン・デ・ベロ
- コスタ・ディロン
- 撮影
- ジョン・K・キューレイ
- 音楽
- ポール・サンドヘォ
- ゴードン・グッドウィ
- 出演
- デヴィッド・ミラー
- シャロン・テイラー
- ジョージ・ウィルソン
- アーニー・メイヤーズ
ある日トマトが人を襲い始め、徐々に巨大化していく。そんなトマトの対策として、諜報部員のディクソンが4人の部下とともに任に当たるが、部下も政府も役立たずばかり。全くなすすべもなく、トマトがはびこっていく。
78年に製作されてカルト的な人気を博し、その後こともあろうか第4作まで作られた『アタック・オブ・キラートマト』が「完璧版」として帰ってきた。といっても、映画の前にプロローグのようなものが加えられ、途中にひとギャグ加わっただけで、たいした違いはない。
タイトルからしてジョーズのようなパニック映画を彷彿とさせる。が、トマトなのでもちろんパロディ。なのだが、これが意外にまっとうなパロディだった。予想としては、案外まじめに作っていて、コメディというよりはパニック映画の失敗作という感じを期待していたのに、あまりにまっとうすぎて拍子抜けという感じである。
トマトが人を襲うという発想が面白いのは、トマトというものがどう考えても怖くないからである。だから、実はまっとうにコメディにしてしまうとあまり面白くなくなってしまう。このギャグは「トマトが人を襲う」という事実を提示しただけで終わってしまうからだ。そのギャグを見て観客は「トマトかよ」と突っ込んで終わってしまう。しかも、そのギャグはタイトルとして提示されているから、それがギャグならば、この映画は始まる前に終わってしまっているということになる。
しかし、パロディではなく、トマトが人を襲うということを全くまじめに描くのなら、それはギャグであり続けることができる。襲われるという緊張感が高まるたびに、それがトマトであるという拍子抜けがやってくるからだ。
したがってイカ映画(イカれているけどイカす映画)としては、この映画今ひとつということになる。イカれていることは確かだけれど、コメディならばイカれているのが当然で、それだけではちっともイカしていないからだ。 つまりこの映画はとにかくハチャメチャなバカバカしいコメディ映画であり、例えばジョン・ランディスの『サボテン・ブラザーズ』のような系統の映画である。が、『サボテン・ブラザーズ』が1986年であるのに対し、この映画のオリジナルは1978年、つまりこの映画はそういったバカバカしい映画の先駆けと位置づけることができるのかもしれない。
そういう意味では、この映画(のオリジナル)はイカしている。裏映画史のようなものを書くとしたら、この映画は間違いなく、その1ページを構成することになるだろう。
しかしそれでもやはりなんだか脱力するような映画で、激しく好き嫌いがある映画だとも思う。