恋する40days
2004/7/29
40 Days and 40 Nights
2002年,アメリカ,93分
- 監督
- マイケル・レーマン
- 脚本
- ロブ・ペレス
- 撮影
- エリオット・デイヴィス
- 音楽
- ロルフ・ケント
- 出演
- ジョシュ・ハートネット
- シャニン・ソサモン
- パウロ・コスタンゾ
- ヴィネッサ・ショウ
- マギー・ギレンホール
恋人のニコールに振られて以来、行きずりのセックスばかりを繰り返し、幻影まで見るようになってしまったマットは神父見習いの兄に相談に行き、そこで今がちょうど四旬節であると知る。マットは、四旬節にちなんで、40日間セックスも、それにまつわるあらゆることもしないことを誓い、ニコールへの思いを断ち切ろうとするが…
男の性欲を題材にした軽いタッチのB級ラブ・コメディ、監督は『ハドソン・ホーク』『好きと言えなくて』などで泣かずとばずのマイケル・レーマン。日本未公開。
禁欲生活という発想は面白いかもしれない。しかし、それが映画にするほどのことだろうかとも思う。これが本当にアメリカの現実だとすると、アメリカという社会のほうが病んでいるのではないかと心配になってくる。こんなに生活や恋愛がセックスに傾いてしまっている社会っていったい…
この映画の舞台はロサンゼルスということで、西海岸らしい解放的な雰囲気というのもあるのだろう。田舎のほうでは事情も変わってくるのだろうと思うが、それにしても…
文句の付け所はたくさんあるが、まずコメディにしてもリアリティがなさ過ぎると思う。全てのエピソードに説得力がない。いつ誓いを破るかという賭けが行われるというのはいい。しかし、それがネットに広がって全世界に広がるとなるとどうだろう。そんな判定方法のあいまいな恣意的なものがかけの対象になるということを説得するだけのものがこの映画にはまったくない。
他にも、登場するのは白人の美男美女ばかりというのも納得がいかない。差別的は差別的だし、それはそれで問題だとは思うが、それ以前に映画としてまったくリアリティを欠いている。ひとりデブの男が出てくるが、それ以外に特筆すべきキャラクターはおらず、誰も彼も似たり寄ったり、ちょっと田舎で格好いいといわれたからハリウッドに出てスターになるんだと思い込んでやってきたぽっと出の役者たちを集めたという感じが透けて見えてしまうのだ。
そしてそのキャラクターの欠如というのがまた映画の面白みをそいでいる。主人このマットとエリカ以外にたつキャラクターがいないのだ。元恋人のニコールも別に絶世の美女というわけではなく、他の同僚の美女たちのあいだに埋没してしまっているし、ルームメイトのライアンも他の同僚と比べて何か特記するような特徴があるわけでもない。それでは映画が面白くなるわけもない。ただひとりエリカのルーム・メイトが他の登場人物たちとは少し違いそうだという意味で可能性が有りそうだが、ほとんど登場せず、個性を発揮出来ずじまいだった。
ということで、特に見所はないわけだが、実はアメリカとはこんな社会なのだという気もする。差別的で閉鎖的でセックス狂い。宗教という権威を借りてエゴイズムを通すことで、自分が敬虔であるという自己満足を得る。
ちょっと言い過ぎました。でもこの映画にアメリカという社会の真実の一端が隠されていることは確かであるような気がします。何を読み取るかは観る側の自由ということで…