スパイキッズ3-D:ゲームオーバー
2004/9/29
Spy Kids 3-D: Game Over
2003年,アメリカ,84分
- 監督
- ロバート・ロドリゲス
- 脚本
- ロバート・ロドリゲス
- 撮影
- ロバート・ロドリゲス
- 音楽
- ロバート・ロドリゲス
- 出演
- ダリル・サバラ
- アレクサ・ヴェガ
- リカルド・モンタルバン
- シルヴェスター・スタローン
- アントニオ・バンドラス
- カーラ・グギーノ
- ジョージ・クルーニー
- サルマ・ハエック
- イライジャ・ウッド
- スティーヴ・ブシェミ
スパイ一家に生まれ前2作で世界を救ったカルメンとジュニのコルテス姉弟だったが、ジュニは諜報組織OSSに不信感を抱き、私立探偵に転身していた。しかし、そのジュニのところに姉のカルメンが行くへ不明だという連絡が。ジュニは姉を救うため天才プログラマーのトイメイカーが開発したゲーム「ゲームオーバー」の世界へと入り込む。
ヒットシリーズ“スパイ・キッズ”の第3作、今回は3Dメガネというどこか懐かしいアイテムを使って3Dバージョンに挑戦。その分映画としてはどうかな…
この映画ははっきり言って面白くない。全体的に安っぽいし、物語もすごく安易。こどもがゲームの世界に入り込むなんて、小学生が授業中にいたずら書きするマンガみたいなストーリーじゃん! といいたくもなる。パッとしたどんでん返しもないし、アクションのスリルがあるわけでもないし、いかんともしがたい感じである。
が、この映画はロバート・ロドリゲスの自主制作映画であり、同時に自作のパロディであって、さらにいえばいわゆる“続編”のパロディでもある。冒頭から、まだ小学生だろうと思われるジュニが私立探偵をやるというどう考えてもギャグとしか思えない展開で始まるが、これはいわゆる“続編”の多くが主人公の挫折から始まるという始まり方のパロディであると考えることが出来る。
その後は自分がこれまでやってきたことを徹底的にパロディ化する。第1作はそれなりに真面目にアドベンチャー映画という感じだったけれど、2作目でわき道にそれ始め、この作品はもう徹底的にそれを壊している。そもそもアドベンチャーだったという面影はすでに無く、ただただバカなことをやっているおバカ映画になっているのだ。
という感じで映画が作られているのはわかるが、それでこの映画がおバカ映画として面白いかといえば、そんなことはない。そのおバカさ加減もあくまでも子供向け、あくまでもゲームの世界に限定されたおバカ加減でしかないのだ。オトナはちょっと楽しめない。
しかしそれでもこの映画がロバート・ロドリゲスらしい映画であることは確かだ。なんと言っても、脚本/監督/撮影/音楽とひとりですべてをこなしているが、これは意気込みの表れというよりは、お粗末さを助長しているだけなのではないかと思う。ロバート・ロドリゲスとはすべてを壊していく監督だ。それまでの映画のストーリーラインを壊して意外な面白さを産み(たとえば『フロム・ダスク・ティル・ドーン』)、複雑な構造を取り入れて映画に対する姿勢を変えようとする(たとえば『フォー・ルームス』)。この姿勢だけはこの映画でも維持されている。シリーズのこれまでの作品を壊し、続編という概念を壊し、分業体制という映画の根本まで壊してしまう。まさに破壊者ロドリゲスの本領発揮。
でも、これは壊しすぎて映画ですらなくなっているような気もする。