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デイ・アフター・トゥモロー

2004/10/8
The Day After Tomorrow
2004年,アメリカ,124分

監督
ローランド・エメリッヒ
原作
ローランド・エメリッヒ
脚本
ローランド・エメリッヒ
ジェフリー・ナックマノフ
撮影
ウエリ・スタイガー
音楽
ハラルド・クローサー
出演
デニス・クエイド
ジェイク・ギレンホール
イアン・ホルム
エミー・ロッサム
ジェイ・O・サンダース
セーラ・ウォード
preview
 極地の観測を続ける古代気象学者のジャック・ホールは学会で今後100年ほどの間に大きな気候変動がおき、氷河期がやってくると予言する。政治家はそれを無視するが、それは予想以上に早く起き、デリーに雪が降り、東京に巨大な雹が落ち、ロサンゼルスに巨大なハリケーンがいくつも発生した。その事態に対処すべく政府もようやく動き出すが…
 ローランド・エメリッヒが地球温暖化をテーマにした社会派のパニック・ムービー。派手なCGの使い方などはいかにもな感じだが、そのそこに現代的な問題とつながるものがある。
review
 パニック・ムービーのありえなさというのは言わずもがなのものである。『ジョーズ』以来、ハリウッドでは手を変え品を変え、様々なパニック・ムービーを生み出してきた。そしてこの映画もその例に漏れず、新たなパニックのもととして“氷河期”を持ってきたというわけだ。そしてそこにはハリウッド流のご都合主義がいつものように覗く。それは、あまりに人間を美化しすぎることである。パニック・ムービーでは常に危機に陥って強く利他的な人間性を発揮する人たちが数多く出てきて、それが感動を呼ぶわけだが、そのなんとも甘酸っぱい展開には食傷である。それでも勢いがあれば、勢いに押されてついつい感動してしまい、それでパニック・ムービーは生き残るわけだ。
 しかし、この映画の場合はその勢いがない。それはまず、このパニックの元の氷河期というのが数週間という長いスパンでやってくるものだからだ。大蛇とか宇宙人は映画全体でも数日という短いスパンの物語であり、そこにはめくるめく事態の変化があって観客の目をくらますことが出来る。この映画は時間の長さを感じさせないように展開に工夫はしてあるものの、やはり事態が変化しないという停滞感は否めず、観客は眼をくらまされることなく、落ち着いて見られてしまうので、そこに登場するヒロイズムのうそっぽさがどうも目立ってしまうのだ。「息子のため」とか「恋人のため」というヒロイズムとは別の動機付けがあればまだ納得できるのだが、それ以外のものは今ひとつ納得がいかない。

 この停滞感はパニック・ムービーとしては失敗といえるのかもしれないが、この映画はただのパニック・ムービーであるよりもどこか社会派を気取るというか、社会問題を提示しようとしているように見える。
 そもそもの映画の始まりは温暖化の問題であり、温暖化によって氷河期になるという逆転の発想によって高度の文明を持つはずの北半球の国々が窮地に陥るという展開になるのである。これは根強い“南北問題”に対するひとつの問題提起なのだろう。
 映画の序盤に星条旗が大写しになり、「またアメリカ愛国映画か」と予感させ、確かに活躍するのはほとんどがアメリカ人で、ヨーロッパやシベリアでも起こっている動揺に事態はすっかり無視されているわけだが、それでもけっして「アメリカ万歳!」というわけではなく、「もうちょっと考えようよ」という姿勢が感じられるのは好感が持てる。序盤の星条旗の大写しに対応するのは終盤で、はためいていた星条旗が一瞬に凍りつくシーンである。これは皮肉とまでは言わないが、どこか考えさせられるシーンである。
 要約すれば「アメリカはすばらしい国だけど、考えたほうがいいこともあるよ」ということだろうか。映画の序盤で京都議定書(地球温暖化防止のために二酸化炭素排出量を制限するための条約、アメリカは未加入)に言及される場面もあることだし。

Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ2001年以降

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