ブギーマン
2004/11/22
Holloween 2
1981年,アメリカ,92分
- 監督
- リック・ローゼンタール
- 脚本
- ジョン・カーペンター
- デブラ・ヒル
- 撮影
- ディーン・カンディ
- 音楽
- ジョン・カーペンター
- アラン・ハワース
- 出演
- ジェイミー・リー・カーティス
- ドナルド・プレザンス
- チャールズ・サイファーズ
- ランス・ゲスト
- トニー・モラン
前作のラストで6発もの弾丸を打ち込まれたブギーマンことマイケル・マイヤーズだったが、そのまま姿を消してしまう。ルーミス医師と保安官は再びマイケル探しをはじめるが、マイケルはすでに近所の家に忍び込み、最初の犠牲者に手をかけようとしていた。そして、病院に運ばれたローリイを目指して進んでいく…
前作が終わったその瞬間から始まるという文字通りの続編。カーペンターは監督をリック・ローゼンタールに任せたが、あまりにひどい出来だったためにほとんどのシーンを自分で取り直したという噂もある。とにかく、2本でハロウィン1日の1つの事件なので、続編というよりは前編と後編といったほうがいいような気がする。
そもそも正編とあわせてひとつの作品というべきだと思うのだが、とにかく正編が終わった時点で2つの謎が残っている。ひとつは「なぜ6発も弾丸を打ち込まれて、死ななかったのか」、そしてもうひとつは「なぜローリイを付けねらうのか」である。
この2つがあるから、観客にしてみれば、マイケルが病院に向かうのはわかりきったことなのに、ルーミス医師はそのことに気づかず、事態を深刻にしてしまう。もちろん事態が深刻にならないと映画としては盛り上がらないわけだから、それでいいといえばいいのだけれど、そのあたりの脚本の押しの弱さは続編ならではの弱点かもしれない。
さらに言えば、正編ではただののっぺりしたゴムみたいだったマスクが急にリアルになっているのも疑問なところだ。こぼれ話的には、前作を作った時点では予算があまりに少なく、市販のマスクに白いペンキを塗っただけの物を使っていたのが、前作のヒットで予算が増えてオリジナルのものを作れるようになった。ということだが、前作からのつながりを考えると、安っぽいままのほうがよかったし、前のマスクのほうが不気味な怖さと悲壮感が漂っていた気がする。
この作品のマイケル=ブギーマンには悲壮感がない、心が感じられない。ただロボットのように人を殺す様子は殺人鬼というよりは殺人マシーン、どうもキャラクターに深みが感じられないのだ。
それでも、ホラーとしての怖さ不気味さを楽しむことは出来る。前作が名作だっただけに、この程度では驚かないというのが正直なところ。前作と同じような盛り上がりがあると思ってみると、期待はずれだが、前作で残された謎が明らかになる「解決編」としてみれば、それなりに見ることが出来る。
終盤30分位の対決シーンの緊張感もさすがのものだし、なんと言っても観客をローリイの立場に追い込んでいく心理的なコントロールがうまい。それはやはり自ら音楽を担当するジョン・カーペンターの音響演出の妙だろう。
カーペンターとしては本当はこんな続編なんか作らなくてもよかったんじゃないかと思う。前作の、不気味で、恐怖が残ったままの終わり方でも彼としてはまったく問題なかった。しかし、ヒットして続編が期待されたがために、ついつい他の監督に任せて作ってしまった。そんな感じの作品かもしれない。