カバーガール
2005/1/4
Cover Girl
1944年,アメリカ,107分
- 監督
- チャールズ・ヴィダー
- 脚本
- ヴァージニア・ヴァン・アップ
- マリオン・パーソネット
- ポール・ガンジェリン
- 撮影
- ルドルフ・マテ
- アレン・M・デイヴィ
- 音楽
- モリス・W・ストロフ
- 出演
- リタ・ヘイワース
- ジーン・ケリー
- リー・ボウマン
- フィル・シルヴァース
- オットー・クルーガー
- イヴ・アーデン
- シェリー・ウィンタース
恋人のダニーがやっているニューヨークの場末のナイトクラブで踊るラスティーは同僚の踊り子に聞いて雑誌のカバーガールのコンテストに応募する。面接官に目をつけられるが、同僚の策略で失敗。しかし、その同僚をナイトクラブに見に来た社主に目をつけられ、翌日また呼ばれるが、ダニーはそのような近道に反対する…
リタ・ヘイワース主演のミュージカル仕立てのラブ・ロマンス、アカデミー賞のミュージカル映画音楽賞を受賞した音楽と、ヘイワースとジーン・ケリーの踊りが見事。
いわゆるミュージカル映画なので、映画のプロットなどはたいしたことはない。しかも舞台はマンハッタン、主役はダンサー、ということで、いかにもハリウッド映画にありそうな話である。そして、実際に映画が始まってみても、特別何か面白い展開があるというわけでもない。わかりやすいおとぎ話、様々な童話やらロマンスやらのエッセンスを組み合わせたような甘ったるいラブ・ロマンスである。
それが映画として成立するのは、これがミュージカル映画だからである。ミュージカルの陽気さと、歌と踊りという見ものがあってこの映画は成立する。そして、歌と踊りを披露するリタ・ヘイワース、ジーン・ケリー、フィル・シルヴァースはすばらしい。
この映画の公開は1943年ということで、まさに第2次大戦が激しさを増していた頃、映画の中でも軍への慰問というエピソードが登場するが、まさに兵士たちにこのような陽気な映画を見せ、気晴らしをさる、あるいは戦争に夫や息子を送り出した銃後の家族にちょっとした楽しみを与える、そのためにはまさに最適な映画なのだと思う。
真面目に見るよりは、そんな気分で気楽に見れば、古き良きアメリカの気分が味わえていいと思う。
リタ・ヘイワースは少し盛りを過ぎたという感じもしなくはないが、まだまだ歌も踊りもすばらしく、映画の中でも盛んに言われる脚の美しさには眼を見張る。ダンサーは顔ではなくて脚で売る、そんな言葉がまさにピタリと来る。実際リタ・ヘイワースは両親ともダンサーで、女優というよりはダンサーとして世に出た。確かに美人ではあるが、絶世の美女というわけではないのに、ここまで伝説的とも言える女優になったのはその脚の美しさと歌と踊りのうまさに理由があったのではないかと思う。
一方のジーン・ケリーは本格的に活躍するのは戦後という印象があるから、この作品の頃なんてのはまだまだ若いのかと思ったら、意外にもリタ・ヘイワースよりも年上、すでに30歳を過ぎている。それでもやはりリタ・ヘイワースよりは格がずいぶんしたで、ダンス・シーンも少ない。むしろ、フィル・シルヴァースのほうが目を引くくらいだ。
気軽に楽しく見ることが出来るというのがミュージカル映画の特質だとしたら、この映画はまさにミュージカル映画だといえるように気楽で楽しい映画だ。見終わって、ああ楽しかったで終わるから、何にも考えたくないときにはいいと思う。