コール
2005/2/1
Trapped
2002年,アメリカ,106分
- 監督
- ルイス・マンドーキ
- 原作
- グレッグ・アイルズ
- 脚本
- グレッグ・アイルズ
- 撮影
- フレデリック・エルムズ
- ピョートル・ソボチンスキー
- 音楽
- ジョン・オットマン
- 出演
- シャーリーズ・セロン
- ケヴィン・ベーコン
- コートニー・ラヴ
- スチュアート・タウンゼント
- プルイット・テイラー・ヴィンス
- ダコタ・ファニング
3人組で家族を別々に誘拐するというやり方で誘拐に成功してきたジョーたち一味は今度は裕福な医者ジェニングスの一家に狙いを定める。夫が出張の隙にジョーが家に忍び込み、娘のアビーを誘拐、従兄弟のマーヴィンが隠れ家に連れて行く。その間にジョーは妻のカレンを監禁する。しかし、アビーが重い喘息であることがわかり、カレンは薬を届けることを要求するが…
グレッグ・アイルズのベストセラー小説『24時間』を本人の脚本により映画化。天才子役ダコタ・ファニングの演技が見もの。
最初はサスペンスらしい緊迫感があって非常にいい。3人を引き離し、それぞれがそれぞれの命を担保に脅迫するという誘拐のやり方は非常に映画的で面白い。3ヶ所での展開のそれぞれに犯人のキャラクターがあり、心理的な動きがあり、それが30分後との電話によって間断なくつながっていく。
前半はその緊迫感が非常にいいのだが、映画が後半に入り、単純な誘拐事件ではないということが明らかになってくると、展開がぐずぐずしてきて今ひとつな感じになっていく。ここでは逆に現場を3ヵ所に分けたことがマイナスに働く。映画が1時間進んだ時点で、30分はケヴィン・ベーコンとシャーリーズ・セロンのところ、15分はダコタ・ファニングのところ、15分はコートニー・ラヴのところという感じの時間配分なのだが、中心になるふたり以外はいかんせん時間が短くて、それぞれのキャラクターが今ひとつ捕まえにくい。その現場での一対一の関係や心理的なつながり方を感じることは出来るのだが、犯人同士の心理的なつながりがいまいち見えてこず、犯人たちのそれぞれが他のふたりをどう見ているのかという部分が今ひとつはっきりしない。
したがって、映画の前半でははっきりしていた観客の立ち位置(基本的にシャーリーズ・セロン演じるカレンに寄り添う)がそのあたりであいまいになって行ってしまうのだ。特にコートニー・ラヴのあり方が微妙だ。
これがもし2時間の映画ではなく、1時間×12話くらいの連続ドラマだったとしたら、すごく面白い展開になって行ったのだと思う。しかし、2時間でこの展開を詰め込むと、やはり終盤はばたばたとしてしまい、観客だけが置いていかれる感じで話が展開していくような印象になる。
単純な誘拐事件にすれば2時間ですっきりとすると思うが、それはそれであまりにシンプルすぎて味気ない気もするから、これでよかったのだろうが、せめてもう1時間引き伸ばすことが出来て、観客を微妙な位置に引き込むことが出来たら、すごく面白い終わり方が出来たのではないかと思うのだ。
素材も、キャスティングもいいだけに、なんとももったいない気がする。ダコタ・ファニングは気持ち悪いほどに芸達者だし(でも、かわいい)、ケヴィン・ベーコンの切れ具合も、シャーリーズ・セロンのセクシー度もいい。原作もきっと面白いんだと思う。いあぁ、もったいないなぁ…