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ベルニー

2005/2/19
Bernie
1996年,フランス,82分

監督
アルベール・デュポンテル
脚本
アルベール・デュポンテル
撮影
ギヨーム・シフマン
音楽
ラモン・ピパン
出演
アルベール・デュポンテル
ロラン・ブランシェ
エレーヌ・ヴァンサン
クロード・ペロン
ロラン・ベルタン
ミシェル・ヴュイエルモーズ
preview
 施設にやってきてから出ることなく30年を過ごしたベルニー、施設で働いて貯めた大金を手に町に出る。彼の目的は、30年前に自分を捨てたという良心を探し出すこと。精神薄弱で世間知らず、しかも怪力の持ち主というベルニーが繰り広げるドタバタをブラックに描く。
 監督・主演のアルベール・デュポンテルは舞台で活躍する喜劇役者で、監督としてはこの作品が初の映画進出(93年に『世界美容師コンテスト』に出演している)。
review

 映画は最初から観客の意表をついて始まる。ベルニーは何か病のついたような靴を雨どいに突き刺しながら壁を上って行くのだ。この彼の意表をつく行動は、これだけにとどまらず一貫して“おかしな”行動をとり続ける。
 このことから思ったのはこの映画が“エイリアンもの”であるということだ。ベルニーというのは社会にとっては完全にエイリアンであり、相互にコミュニケーションすることが不可能な存在だ。しかし、見た目は人間と同じ形をしているから始末が悪い。この映画の設定がそのようになっているというだけで、別にこれは精神薄弱の人々を差別しているというわけではない。この映画でベルニーがいた施設(多分孤児院)が彼を社会から完全に隔離してきたことによってベルニーはこのような“エイリアン”に育ってしまった。それはもちろんそもそもは両親が彼を捨てたことに起因しているわけだ。ベルニーはそんな両親を探すわけだが、ベルニーはすでに両親と完全に異質の存在になってしまっているから、彼らが仲直りする可能性はない。彼らはであっても決してわかりあうことはなく、両親がベルニーを(もう一度)殺すか、ベルニーが両親を殺すかという未来しか可能性としてはないような気がするのだ。
 したがってこの物語は、結果的には“エイリアン”が生みの親を殺しにくるという構図の物語になる。

 もうひとつ、この映画を見ながら思い出したのは、同じフランスの監督であるジャン=ピエール・ジュネの初期の作品だ。この『ベルニー』の陰惨な感じは『デリカテッセン』や『ロスト・チルドレン』の世界観を連想させる。どこか空おかしく気持ち悪い。おかしいのだけれど居心地が悪い。そんな雰囲気を持っているという点が共通しているのだと思う。
 そして、このジャン=ピエール・ジュネが『エイリアン4』を撮っているということも非常に面白いと思った。『エイリアン4』はエイリアンシリーズの中で(いい意味でも悪い意味でも)異彩を放っているように見えるが、それはこの映画の物語のエイリアンの描き方の異質さにある。この『エイリアン4』では様々な形の“エイリアン”が登場する。まずはリプリー彼女は3までのリプリーのクローンでエイリアンの遺伝子も併せ持つハイブリッドなエイリアンである、2種類目はエイリアンの女王、彼女は3でリプリーの体内に植えつけられた卵から付加した。3種類目はその女王から生まれる“ニューボーン”、これまた人間とのハイブリッドである。このニューボーンが生まれてすぐ母親であるエイリアンの女王を撲殺する。
 つまり、ここでも「親殺し」が登場するというわけだ。

 このエイリアン(親とは異質なもの、親にとっての他者である子)が親を殺すという構図がこの『ベルニー』とそしてジャン=ピエール・ジュネの映画の根本的な不気味さを生み出しているのではないかと思う。
 『ベルニー』がおかしいのは、われわれとベルニーの間に大きなギャップがあるからだ。笑いというのは基本的にギャップから生まれるから、ベルニーは笑える存在になる。しかしベルニーは決して無害なおとぼけものではなく、「白痴」的な聖人でもなく“エイリアン”だから、そこには常に不気味な予感が付きまとう。そして映画はその不気味な予感をベルニーの突発的な暴力を見せることで強化して行く。だから、この映画は本質的にはコメディなのだが、コメディとはどこかで反転してホラーになってしまう可能性を常に孕んでいることを意識させる。そして実は、そのような「ホラーに転換してしまうかもしれない」というサスペンスがコメディが映画的であるひとつのあり方であるのだということも示唆する。笑いと恐怖は紙一重、それはどちらも自分とは異なる他者とのギャップがその笑いや恐怖の源泉となっているからだ。そしてそれを究極的に表現するのがエイリアンであり、エイリアンがいるところには常に笑いと恐怖の境界線が存在するのだ。

Database参照
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国別・年順: フランス

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