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ナショナル・トレジャー

2005/5/15
National Treasure
2004年,アメリカ,131分

監督
ジョン・タートルトーブ
脚本
コーマック・ウィバーリー
マリアンヌ・ウィバーリー
ジム・カウフ
撮影
キャレブ・デシャネル
音楽
トレヴァー・ラビン
出演
ニコラス・ケイジ
ハーヴェイ・カイテル
ジョン・ヴォイト
ダイアン・クルーガー
ショーン・ビーン
ジャスティン・バーサ
クリストファー・プラマー
preview
 子供の頃、祖父からフリーメイソンの宝の話を聞いたベン・ゲイツはその夢を追ってはるばる北極までやってきた。そこでついに言い伝えにある“シャーロット”を発見し、その船の内部を探索する。そして船長の遺骸が守る樽の中から謎が記されたパイプを発見した。そして、その謎を解くと、宝の秘密は独立宣言書の裏に隠されていることがわかるが…
 ジェリー・ブラッカイマーのプロデュースによるニコラス・ケイジ主演の冒険活劇、いかにもディズニーの冒険活劇らしい展開で、まったく退屈。
review

 まず、映画としてあまりに退屈だ。結末までの展開は始まってすぐにだいたい見えてしまうのに、物語は遅々として進まず、しかし展開はころころ変わる。どんでん返し風の転換がところどころにあるのだが、物語の基本的な構造(善悪二元論構造)があからさまに見えてしまっているので、ハラハラドキドキとはならない。ディズニーのこういう映画ではいつもそうだが、悪役が人間味があるキャラクターであるにもかかわらず、結局悪役は悪役のままで、だいたい最後にドジをして(あるいは主人公たちの機知にだまされて)その報いを受けるというパターンが今回も見え透く。そして、映画の結末はきっと教訓的な話で終わり、しかし主人公たちは幸せになって、サブプロットになる恋愛のほうもめでたしめでたし、子供が生まれて変な名前をつけるところまで予想がつく。
 サブ・プロットに恋愛が絡むというのはハリウッド映画の常套手段だが、今回はどうしてこのアビゲイル博士がビルを好きになったのか一向にわからない。まったく好きになる要素もないし好きになるタイミングもない。ただ物語の展開上、ヒーローとヒロインは結ばれなければならないという義務から結ばれたような感じだ。だってアビゲイルは独立宣言書を取り戻すためと、好奇心からついて行っただけなわけだし、それが恋愛感情に変わるなんていう瞬間はどこにもなかった気がする。それだったら、アビゲイルとライリーが結ばれたって話のほうが説得力があった気がするし、面白かったんじゃないかと思う。
 制作者の意図としてはもちろん観客がビルに感情移入して見るということなのだろうけれど、ビルの言っていることは、人名とか歴史の話とかまったくわけがわからず、そんな人に感情移入するというのはなかなか難しいわけだ(ディズニーが対象としている愛国主義者のアメリカ人にはわからないでもない話しなのかもしれないけれど)。だから、私はこの中ではライリーの立場に自分を近づけてみるしかなかった。よく考えるとライリーの目的もよくわからないが、とにかく彼は宝を見つけたいのであり、純粋にその宝探しという過程に惹かれているだけという気がするから好感が持てるのだ。アメリカ建国の話にもそんなに興味はないようだし。このライリーがいたおかげでこの映画は何とか観られるものになった気がする。

 それにしてもディズニーはついに愛国者教育をあからさまにするようになったのだろうか。この作品に主人公ゲイツ一族のあまりの愛国者ぶりは目に余る。たかだか200年前に書かれた独立宣言書にどうしてそこまで敬服するのか。そして、そもそもこの“ナショナル・トレジャー”は、ヨーロッパ人がエジプトから盗んできた宝をアメリカに運んできただけなのに、どこが「国の宝」なのか、この主人公たちはそれを寄付したことで誇らしげに振舞っているが、そもそもがエジプトの宝なのだから、無償でエジプトに帰すのが筋なんじゃないか。それを見つけた見つけたというのだって、そもそも強欲張りのアメリカ人が難しく隠しすぎたせいじゃないか、それに、エジプトから運んできた宝は(値段が張るから)後生大事に、隠しておくが、アメリカの先住民の宝は有無を言わさず叩き壊してきたんじゃないのか、などなど、疑問を上げ始めたらきりはなく、映画を見ながら、アメリカ人の自分の国ばかりを正当化するご都合主義にぶつぶつ文句が出るばかりだった。

 見つかった宝が美術品とかじゃなくて、武器や兵器や拷問器械の山だったりしたら、面白かったのに。

Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ2001年以降

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