Re:プレイ
2005/7/30
The I Inside
2003年,アメリカ,92分
- 監督
- ローランド・ズゾ・リヒター
- 原作
- マイケル・クーニー
- 脚本
- マイケル・クーニー
- ティモシー・スコット・ボガート
- 撮影
- マルティン・ランガー
- 音楽
- ニコラス・パイク
- 出演
- ライアン・フィリップ
- スティーヴン・レイ
- ロバート・ショーン・レナード
- パイパー・ペラーボ
- サラ・ポーリー
病室で悪夢にうなされて目を覚ましたサイモン・ケーブルは、2年間の記憶を失っていた。彼は妻がいるといわれ妻に会いに行くと、そこにはブロンドの美女が、しかしその美女が去ったあと黒髪の女アンナが妻として現れる。2年前彼は交通事故を起こし、その時も同じ病院に運ばれたらしいのだが…
『メメント』を髣髴とさせる前向性健忘症ネタ。主演はリース・ウィザースプーンの夫として有名なライアン・フィリップ。
自分自身の話なのに、記憶喪失のために、自分自身は理解できないという記憶を扱った話、『メメント』のヒット以来同じような作品が連発されて食傷気味という感じだが、この作品もそのひとつ。映画のはじめの方でニューマン医師も言っているように、記憶を取り戻すということはパズルを組み立てるようなものなので、とりあえずは観客の好奇心をくすぐって失敗しにくいということなのだろう。
確かにこの作品も、サイモンが現在と過去の記憶との間を行き来することで、徐々に全体像が明らかになって行く過程がまさしくパズルのようで、観客は知的なサスペンスを見ているような気にさせられる。同じ登場人物が、違う立場で登場することで、物事の順序が類推でき、さらには細かな矛盾が明らかになってくることで、彼の記憶の時間が単一ではないということも明らかになって行く。
そんなパズルの解法を追っていけば、とりあえず飽きることは無い。これがこうなって、あれがこうと頭の中で組み立てて、自分なりの完成図を思い浮かべ、それと次々現れるピースとの整合性を試す。
そんなこんなで映画を見終わるわけだが、この結論はどうだろうか? 結末はネタばれになるので書かないが、これでいいの? と思ってしまう。結末がこれだとすると、この映画全体の細部の意味っていったい… ということになってしまうし、なんだか一生懸命謎解きしようとしてた自分が馬鹿みたいに思えてくる。観客を裏切るどんでん返しといえばそうだが、どうもだまされたような気がして腑に落ちない。
!!!!以下ネタばれ(最後まで)!!!!
結局これは彼の死の直前の回想、おそらく数分間の間に頭をよぎった走馬灯のようなものなのだろう。映画の最後の最後の1分あまりだけが事実であり、それ以外は全て、そこに映っているサイモンの頭の中で展開されたことであるのだろう。それはもちろん彼にとっての“贖罪”である。自分が犯した罪に対して赦しを請い、天国にいけるように祈る。その過程が映像化されたというだけのことだ。
ということは、最初から謎など無かった。2002年の未来などというモノは存在しなかったし、アナもいなかったのだ。そんな話ってあり?