ブルース・オールマイティ
2005/8/11
Bruce Almighty
2003年,アメリカ,101分
- 監督
- トム・シャドヤック
- 脚本
- スティーヴ・コーレン
- マーク・オキーフ
- スティーヴ・オーデカーク
- 撮影
- ディーン・セムラー
- 音楽
- ジョン・デブニー
- 出演
- ジム・キャリー
- モーガン・フリーマン
- ジェニファー・アニストン
- フィリップ・ベイカー・ホール
- キャサリン・ベル
- リサ・アン・ウォルター
- スティーヴン・カレル
TV局のレポーターのブルースはいつも同僚のエヴァンに先を越されていた。しかし、ある日、生中継のレポートを任され、アンカーマンへの出世の試金石と意気込むが、その直前エヴァンがアンカーマンに決まったことを知らされ、取り乱してしまう…
ジム・キャリーによるジム・キャリーらしいコメディ。ハートウォーミングな感じを入れないと、この人はコメディを演じられないのだろうか。
ジム・キャリーのコメディは何を見ても同じに見える。この作品はモーガン・フリーマンとジェニファー・アニストンが出演していることで少し個性的というか、違う色が出たけれど、ジム・キャリーのギャグという一点をとれば他の作品と変わるところは見られない。もちろんそれは、ジム・キャリーが好きな人ならどの作品を見ても面白いということであり、同じように質のいい作品を作り続けているということになるのだけれど、どうもジム・キャリーの笑いに肌が合わない私は、どの作品を見ても、あーまた同じだなぁ… と思ってしまうのだ。だから、この作品も、ジム・キャリーが好きなら見て面白いだろうし、好きでなければ、見ても面白くない作品ということになる。
つまり、私はこの作品が面白くなかったというわけだが、その要因の第一はこれが“神”を扱った作品であるということにある。まず、主人公のブルースは自分の不運を神のせいだと考えて、神をに文句を言い続けるわけだが、その態度がどうも納得いかない。どう考えてもその不運(と彼が呼んでいるもの)のほとんどは自分の不注意から来たものだ。車がぶつかるのだって、水たまりに足を突っ込むのだって自分で注意していたら回避できたはずの“不運”のはずである。
だが、彼はそれを神のせいにして、神に文句をいう。果たして、アメリカ人はこれを見て、うんうんと納得するのだろうか。彼らにとって神とはそんな都合のいいもの、自分を棚上げにするための手段なのだろうか。この映画を最後まで見ても、彼の不運があくまでも彼の不注意のせいであり神のせいであると説明されるシーンは出てこない。むしろ神は忙しいから、彼のそんな些細な悩みにかまってはいられないのだとでもいうようだ。そして、彼の不運を彼が自分のことばかり考えているという、彼の欠点にすり替え、それを直すことで全ての悩みが解決するかのような展開にもって行く。でも、よく考えてみれば、いくら他人のことを考えるようになっても、彼の不注意が直なおるわけは無く、彼はいつかまた自分の不運を神に嘆くようになるのだ(大変なことを知っているからさすがに文句は言わないと思うが)。
まあ、所詮は夢物語というか、ファンタジーだから、それに文句をいう必要もないのだと思うが、あまりの想像力の乏しさに呆れてしまう。
まあ、牧歌的というか、楽天的というか、のどかでいいという気もします。ジム・キャリーはなんだか田舎の教会でボランティアをしているお兄さんという雰囲気だし、物事はどれも深刻にならないし(日本のキタモト市の洪水の被害は気になりますが…)、結局は神様が何とかしてくれるんだからそれでいいんじゃないでしょうか…