コンフィデンス
2005/10/11
Confidence
2003年,アメリカ,97分
- 監督
- ジェームズ・フォーリー
- 脚本
- ダグ・ユング
- 撮影
- ファン・ルイス・アンシア
- 音楽
- クリストフ・ベック
- 出演
- エドワード・バーンズ
- レイチェル・ワイズ
- ポール・ジアマッティ
- ブライアン・ヴァン・ホルト
- ダスティン・ホフマン
- アンディ・ガルシア
- フランキー・G
- ルイス・ガスマン
- ロバート・フォスター
腕利きの詐欺師ジェイクは2人の悪徳警官も抱きこんで、仲間のゴドーらとライオネルという男をだまし、15万ドルを手に入れた。しかし、仲間の一人が何者かに殺され、だました男がギャングの大物キングの会計士だったことが明らかになる。ジェイクはキングに直談判し、もっと大きなヤマを当て、数倍にして返すという提案をする。
脇役にダスティン・ホフマンやアンディ・ガルシアという大物を配して、エドワーズ・バーンズ主演で撮ったB級クライム・サスペンス。
だましだまされという詐欺師もの、主人公が同人をだますのかというのがまず物語を引っ張って行く要素だが、そこにさらに様々な利害関係者が出てきて、誰が誰をだましているのかという複雑な様相を呈して行くものだ。この作品も例に漏れず、ジェイク、手を組んだキング、だます相手のプライス、警官、ビュターンと登場人物が登場し、いったい誰と誰が手を組んで誰をだましているのか、観客をだまそうとする。観客はそこをだまされないように推測していくので、いわば推理小説を読んでいるようなスリルを味わうことが出来る。
そして、この作品はそこそこ巧妙にそのだます技法が組み立てられている。ジェイクが何者かに捉えられて、白状させられているという状況を語りのベースに入れるのもジェイクがどこで失敗したのか、それとも失敗していないのか、という状況を作って謎解きを複雑にすると同時に、謎を解く鍵を与えるという意味で面白い。
しかし、この映画どこかで見たことがあるような話だなーと思って思い出して見ると、詐欺師ものの古典中の古典『スティング』によく似ている。細部が思い出せないので、調べてみると話の導入から展開の仕方までかなり似ている。もちろんまったく同じというわけではなく、登場人物の関係性などは違ってくるが、それでもかなり似ている。確かに、詐欺師ものの古典である『スティング』はあらゆる詐欺師ものの映画に影響を与えているだろうから、似てしまうのも仕方がないし、誰もがあっと驚くどんでん返しなんてそう簡単に思いつくものではないだろうから、「同じじゃん」と思うような作品も散見される。それは仕方ないといえば仕方がないのだが、それでもやはりこの作品が今ひとつオリジナリティに欠けた作品であるといわざるを得ない。
この作品のオリジナリティというか、特徴といえば、脇役たちの多彩さである。ダスティン・ホフマン、アンディ・ガルシア、ポール・ジアマッティ、ルイス・ガスマン…。しかし、それが今ひとつ生かされていない。アンディ・ガルシアはなかなかいい味を出しているが、ダスティン・ホフマンはほとんど活躍の場もなく、印象が薄い。これはおそらく登場人物を増やしすぎて、その関係を処理しきれなくなったためではないかと思う。ダスティン・ホフマンもレイチェル・ワイズと何か関係が出来て行きそうだったのに、展開されていかないし、殺された仲間の犯人探しというのも中途半端な感じになってしまう。
もっときっちり細部を詰めて、観客をグッと引っ張り込む展開を作ることが出来たら、非常に面白い映画になったのだろうが、この作品はそのような語りで観客を引き込むよりも、なんとなく格好いいようなスタイルを重視した感じで、たしかになんとなく格好よく、なんとなく面白いが、それ以上ではない。