アイランド
2005/12/6
The Island
2005年,アメリカ,136分
- 監督
- マイケル・ベイ
- 脚本
- カスピアン・トレッドウェル=オーウェン
- アレックス・カーツマン
- ロベルト・オーチー
- 撮影
- マウロ・フィオーレ
- 音楽
- スティーヴ・ジャブロンスキー
- RAAZKUINTED
- 出演
- ユアン・マクレガー
- スカーレット・ヨハンソン
- スティーヴ・ブシェミ
- ショーン・ビーン
- マイケル・クラーク・ダンカン
近未来、汚染された地球の中、安全な環境で暮らす人々は、抽選によって唯一の汚染されていない土地“アイランド”に移住することを夢見て暮らしていた。リンカーン6エコーもそのひとりだが、技術者のひとりマックと秘密の交流をする彼は、何かがおかしいと感じていた…
ジェリー・ブラッカイマーとのコンビで『アルマゲドン』などのヒット作を生み出したマイケル・ベイがブラッカイマーからはなれて撮ったSF大作だが、単なるアクション映画。
*どこまでがネタばれといえるのかわかりませんが、基本的には全部ネタばれです。でも、大筋のところは予告編や何かでわかってしまうので…
クローンというのは長年SFのテーマとして扱われてきた。そして、クローンを「栽培」して長寿あるいは不死を得るというのも、すでにひとつのパターンになっている。例えば、「マイルズ・シリーズ」で有名なロイス・マクマスター・ビジョルドはクローンをテーマのひとつにし続け、育てたクローンに脳だけを移植して不死を得るという商売も登場している。だから、この作品に描かれているクローンのあり方というのはそれらのクローン物語の中から今でも実現できそうなことを抽出したという感じである。
となると、そこに表れるのは開発者と注文者のエゴであり、クローンの怒りであるということになる。そして、その通りの物語であり、そうなると結論は見えてしまう。だから、物語にはどうにも興味をもてない。スカーレット・ヨハンソン演じるジョーダン2デルタは、クローンゆえの苦悩、自分を注文した本人が死ぬということについての迷いとでもいうようなものが見えるが、この部分はあまりクロースアップされる事はない。
さらには、クローンのメカニズムについてもほとんど説明されることはない。まだ試行錯誤の途中という設定なのだろうけれど、それにしても、どうしてこうなるのか、そしてこれからどうなるのかということがあまりに不透明すぎて、どうにも納得がいかない。
そして、最終的にはこのクローンの解放がアフリカ人奴隷の解放に結び付けられる。そのあたりもオーソドックスというか、陳腐というか、ありきたりというか…
ということで、物語やテーマの部分には見るべきものはほとんどない。しかし、アクションはなかなか見ごたえがある。この映画は2時間以上と長いが、そのうちの1時間以上がアクションに割かれていると言ってもいいだろう。特にできがいいのは近未来カーチェイス。近未来の技術を使うことで、カーチェイスをより合理的でスリリングなものにしている。超高速のスポーツカー、自動操縦のトラック、空をすべるように飛ぶジェットバイク、それらの道具によってスリルを演出、大画面で見たらついつい体が動いてしまうだろうような臨場感があってよかった。
私はちょっとアクション・シーンが多くて飽きてしまいましたが、アクション映画好きの方にはいいのではないかと思います。