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レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード

2006/4/14
Desperado
1995年,アメリカ,104分

監督
ロバート・ロドリゲス
脚本
ロバート・ロドリゲス
撮影
ロバート・ロドリゲス
音楽
ロバート・ロドリゲス
出演
アントニオ・バンデラス
サルマ・ハエック
ジョニー・デップ
ミッキー・ローク
エヴァ・メンデス
エンリケ・イグレシアス
ウィレム・デフォー
preview
 片田舎のギターを作っているだけの村にひっそりと暮らしていたエル・マリアッチのところに追っ手が来る。彼があわされたのはメキシコ大統領のクーデターに一枚かもうとしているCIAの捜査官サンズ、サンズはエル・マリアッチが恨みを持つマルケス将軍の殺害を依頼する…
 ギターケースを抱えた殺し屋“エル・マリアッチ”を主人公とする『デスペラード』の10年を経て作られた続編。
review

 ハリウッドが映画の都、世界の映画界の頂点であるのはもちろんのことだが、そうであるからこそハリウッドは時に外部から新しいものが入ってくることを求める。ハリウッドで成功を手にする監督や役者の多くは地道に努力を重ねてきたような人々だが、中にはいきなり衝撃的なデビューをするような監督や役者もいる。
 そして、ロバート・ロドリゲスもその一人である。彼は7000ドルで作った自主制作映画『エル・マリアッチ』がいきなりメジャー映画会社(コロムビア)に買い取られて監督としてデビュー、『ロードレーサーズ』というTV映画を撮ったのち、この『デスペラード』を撮った。制作費は約10倍(それでもかなり安い)、作品は大ヒットとなって主役のアントニオ・バンデラスもスペイン出身の準主役から一気にハリウッド・スターの仲間入りを果たした。
 ロバート・ロドリゲスがこの作品にも出演しているクエンティン・タランティーノと出会ったのは2人のデビュー作『エル・マリアッチ』と『レザボア・ドッグス』がともに出品されたトロント映画祭でのことだった。2人は映画の趣味、南部出身などの共通点からあっという間に意気投合、時に協力しながら様々な作品を発表してゆき、インディペンデントからハリウッドへと新しい風を起こした。

 この作品を見ながら、何が新しかったのかを考えて見ると、それはまずなんと言ってもアクションだろう。銃で撃たれ、爆弾で吹き飛ばされた人々が宙を舞う。奇抜な形の武器で敵をバッタバッタと撃ち殺す。その奇想天外なアイデアが観客を驚かせ、喜ばせた。
 アクションにリアリティを求めることをやめ、完全なるエンターテインメントとしてそれを表現したこと、それによって観客をひきつけたのだ。その過剰さはアメリカンコミックの世界であり、プロレスの世界である。メキシコ系アメリカ人であるロドリゲスには映画のエリートである当時のハリウッドの監督たちとは違う感性があった。それにワイヤーアクションなどの技術を組み合わせ、現実ではありえないアクションを生み出す。それがロドリゲスが実現したことである。
 当時斬新だったそれらのアイデアは今はもう当たり前のことになってしまった。今見るとこの作品にそれほどの迫力を感じないのはそのような過剰なアクションがすでにメインストリームのものになってしまっているからだ。ロドリゲスやタランティーノがアイデアを拝借したであろうジョン・ウーもハリウッドで大物になり、メキシコからはまた新しい風がハリウッドに吹いている。
 ハリウッドらしくなかったことで時代の寵児となったロドリゲスがメインストリームとなり、また別の新しいものがどこからかやってくる。それがハリウッドなのだ。この作品が忘れ去られることはないだろうが、この作品のすごさというのはやはり時間とともに減じていってしまうのである。

Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ1990~2000

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