アート・オブ・ウォー
2006/4/21
The Art of War
2000年,アメリカ,118分
- 監督
- クリスチャン・デュゲイ
- 脚本
- ウェイン・ビーチ
- サイモン・デイヴィス・バリー
- 撮影
- ピエール・ギル
- 音楽
- ノーマンド・コーベイル
- 出演
- ウェズリー・スナイプス
- ドナルド・サザーランド
- アン・アーチャー
- マイケル・ビーン
- マリエ・マチコ
国連の上層部の指令を受けて、暗殺などの任務をこなすエージェントのリーダーであるショーは、中国とアメリカの関係改善のための中国大使の会見に記者を装って潜入するが、そこで大使の狙撃事件が起きる…
ウェズリー・スナイプス主演の政治サスペンス・アクション。エピソードとしては非常におもしろいが、映画として展開の仕方が今ひとつぎこちない。
アメリカと中国と国連というトピックは非常にホットでいいトピックである。作られたのは2000年と結構前だが、その段階でアメリカの孤立主義と国連の対立を中国に絡めてホンにしていたというのはなかなか先見の明があったのではないか。公開時はそれほど話題にならず、大きなヒットにもならなかったと記憶しているが、今見るとそんなに悪い映画ではない。
まず、国連という国際的ないわば平和組織がエージェントを雇い、暗殺も辞さないという姿勢を持っているとすることはなかなか新鮮だし、なかなか説得力もある。そしてそのエージェントを演じるウェズリー・スナイプスのアクションにも迫力があるし、彼と絡むアジア系の役者たちもなかなかいい。しかも、物語が複雑で先の展開が読みづらいからついつい、見てしまうという感じになっている。
ただ、この監督の組み立て方が下手なせいか、国連と中国とウェズリー・スナイプスの関係があまりうまく整理されておらず、展開がわかりにくい。そしてそのせいでどうも映画の進行がぎこちなくなってしまっている。本来は大活躍するウェズリー・スナイプスに観客は集中し、彼の視線から物語を観るようになったほうが、アクション映画として面白い展開になるのだろうが、そのぎこちなさによって、彼一人に没頭できないような映画になってしまっている。
まあ、そのおかげで背景にある政治問題を現実とつなげ合わせて考えてしまい、それはそれで意味があるのだろうと思うが、娯楽映画として楽しもうとするならば邪魔になってしまうし、この映画はどう考えても娯楽映画だろう。
そのあたりでどうしても「おもしろい!」とは言えない映画になってはしまったが決してつまらない映画ではない。少し暗い感じのアクション映画が好きならばぜひ観るべし。