エアポート '05
2006/5/27
Crash Landing
2004年,アメリカ,98分
- 監督
- ジム・ウィノースキー
- 脚本
- ポール・A・バーケット
- ウィリアム・ラングロス
- ジム・ウィノースキー
- 撮影
- アンドレア・V・ロソット
- 音楽
- ニール・アクリー
- 出演
- アントニオ・サバト・Jr
- マイケル・パレ
- ブライアン・デイヴィス
- レネ・リヴェラ
軍のパイロットであるマスターズは大富豪の娘ロシェルとその友だちのチャーター機に警護のため乗り込むよう命令される。いやいや任務を遂行するマスターズにロシェルは突っかかり、友だちはパーティーで騒いでいた。しかし、その飛行機の乗務員は実はハイジャック犯だった…
非常にオーソドックスな航空パニック映画。脚本も演出も演技もCGもどれもこれもがハリウッドの大作映画のお粗末な模倣。
まったくもってひどい。大体映画が始まって20分くらいたったところで物語の結末まで完全に見通すことができる上に、実際はその予想よりもひどい物語が展開されるのだ。ヒーローとなるマスターズはそこそこ格好いいし、機長あたりもなかなかいい活躍をするのだが、なんと言っても敵たちがあまりにショボイのがサスペンス・アクションとしては致命的につまらない部分だ。こういうパニック映画はもしかしたらやられるかもというスリルがあることによって面白くなるのに敵があまりにショボイとそのスリルもなくなってしまう。友だちは銃を突きつけられて縮み上がるけれど、あんなおっさん一人なら、全員で襲い掛かれば何とかなりそうなものだ。それに、ハイジャック犯なのに飛行機の中でやたらめったら銃を撃ちまくるというのもどうなのか。もし流れ弾で期待に穴が開いたら自分たちもろともあの世行き、そんな当たり前のことが完全に無視されていることに驚く。
そんな細部のお粗末さは枚挙に暇がなく、失笑に継ぐ失笑となってしまってサスペンスとして成立すら危ぶまれてしまう。そして、あまりにお粗末なのがCGだ。この映画が撮られたのは2004年だが、その頃ならうちのパソコンでもこの映画程度のCGは作れたと思う。おそらく大学生の自主制作映画のほうがよっぽどレベルが高いのではないだろうか。
この映画の題名は『エアポート '05』となっているが、1970年の『大空港』からはじまる「エアポート」シリーズとはまったく関係がない。このシリーズは『大空港』『エアポート'75』『エアポート'77』『エアポート'80』の4作品で完結しているのだが、このシリーズがヒットして以来、日本では航空パニックものの邦題に『エアポート…』とつけるのが慣例になったらしい。特に1993年の『エアポート'98』以降は'98、'99、2000、2001、'02、'03、'04と各年の名前がついた作品が作られている。おかげでそれらの映画のすべてがつまらなそうに見えてしまうのだが…、オリジナルの『大空港』は結構おもしろく見た記憶がある。