ふたつの過去を持つ男
2006/6/6
Consequence
2003年,ドイツ,97分
- 監督
- アンソニー・ヒコックス
- 脚本
- ホーク・オストビー
- マーク・ファーガス
- 撮影
- ジュリオ・ビッカリ
- 音楽
- アンソニー・マリネリ
- 出演
- アーマンド・アサンテ
- ローラ・グラウティーニ
- リック・シュローダー
- ダニー・キーオ
歯科医のマックスはスキャンダルでキャリアに絶望的な傷がついた。名誉を最も重要なものと考えるマックスは銀行員のエヴァと共謀して、南米エクアドルで事故死した尊敬する兄のサムに成りすます計画を立てる。
『マイク・ハマー 俺が掟だ』のアーマンド・アサンテ主演で監督のアンソニー・ヒコックスもアメリカ人、言葉も英語だが、ロケ地は南アフリカ。
題名や物語からしてシリアスなドラマかと思いきや、完全なるサスペンスアクションで、しかも非常にオーソドックス、悪く言えば陳腐な作品。
人生をやり直そうと尊敬する兄に成りすますが、その兄が実は…という展開のアイデアはなかなかおもしろい。自分の知らない過去によって面倒に巻き込まれ、しかも兄への尊敬と憧憬からそこから逃げることもできないという閉塞状況、そこで展開されるドラマにはなかなかの面白みがある。
しかし、プロットの細部を詰めて行くと、なんじゃそりゃというようなところも多く、あまり緻密に作られた映画とはいえない。所詮はB級アクション映画と言ってしまえばそれまでだが、それでももう少し慎重にして欲しかったと思う。そもそも、アメリカ人が出演し、英語をしゃべり、舞台はサンディエゴということになっているのに、どの風景がどう見てもサンディエゴに見えないのはどういうことか。ロケ地は南アフリカのケープタウンだというから、最初から舞台をケープタウンに設定すればよかったのに。
それから、目玉として作られていると思われるカーチェイスのシーンもなんとも言いようがない。いわゆる“カーチェイス”のイメージを凝縮したような、どこかで見たようなシーンばかりが続く。そして、最後には作りかけの橋に突入。どうしてカーチェイスをしていると都合よく工事中の橋に出会うのか、これはB級アクション映画の七不思議のひとつだ(他の6つは考えていません…)。
兄に成りすますというアイデアに続く意外な展開、これだけがおもしろく、それ以外はTV映画としても並み以下のでき。後半の1時間は退屈な時間だった。