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さよなら、僕らの夏

★★★星星

2006/6/9
Mean Creek
2004年,アメリカ,90分

監督
ヤコブ・アーロン・エステス
脚本
ヤコブ・アーロン・エステス
撮影
シャローヌ・メール
音楽
トムアンドアンディ
出演
ロリー・カルキン
スコット・メチョロウィック
トレヴァー・モーガン
ジョシュ・ペック
カーリー・シュローダー
preview
 オレゴン州の小さな町に住むサムは同級生のジョージにいじめられていた。そんなサムの兄ロッキーはその生意気な少年ジョージを懲らしめてやろうと仲間たちと計画を思いつく。そして、サムの誕生祝いと偽ってジョージを誘い出すが…
  主演はカルキン兄弟の末弟ロリー。これがデビュー作となるヤコブ・アーロン・エステス監督はインディペンデント・スピリット賞、サンダンス映画祭などで賞賛を浴びた。
review

 青春映画というには少し暗い、しかし考えさせられるドラマ。いじめっ子であるジョージという少年が太っていることやいろいろなことで彼自身コンプレックスの塊である。彼の抑圧された心は暴力によってしか他人にかかわることができない。そんな彼にとって誕生会に招かれるということは非常にうれしいこと、本当にうれしいことだったはずだ。
  サムらはそんな彼の感情を読み取るが、マーティーはそれを認めない。このマーティーもまた様々なコンプレックスを抱えた存在である。年齢的にはサムやジョージより上ではあるが彼も大人になりきれない子供の部分を多く持っている。
  それはサムの兄ロッキーや友だちのクライドにもいえることだ、彼らはそれぞれに悩みを抱え、子供と大人の間で苦悶している。考えていることは子供なのに、行動の結果には大人と同じような責任を問われる。大人たちは彼らを子ども扱いし、平等に扱ってくれないのに、負担は強いる。そのような子供らしい鬱窟が彼らにはつもり、彼らを蝕んでいる。

 この映画は最初、サムが主人公であり、彼と兄との信頼関係が物語の中心になる。しかし途中から物語の主人公はジョージに変わり、さらにマーティへと変わる。そしてここではサムとロッキーとは違った形の兄弟の関係が描かれていく。そしてさらに最後には登場する全員が主人公となり、それぞれの物語を展開させて行く。その辺りはじっくり見る価値のある映画だと思う。

 しかし、そのように考えさせられる部分があるにもかかわらず、この映画はすごく平凡な映画でもある。少年たちがある種の冒険をする物語であるにもかかわらず、『スタンド・バイ・ミー』のようなワクワクした感じはないし、それぞれの役者たちも粒ぞろいではあるけれど、観客の心をグッとつかむような飛びぬけた才能も現れない。ロリー・カルキンもカーリー・シュローダーも子役として成功し、ティーンの役者としてそれなりのキャリアを積んでは行くだろうが、やはり地味だ。
  その辺りの地味さが、製作から日本での公開まで2年を費やすことになった原因だろう。ロリー・カルキンについて言えば、この作品よりあとに撮られたエドワード・ノートン主演の『ダウン・イン・ザ・バレー』のほうが先に公開されているし、カーリー・シュローダーもハリソン・フォードの娘役を演じた『ファイヤーウォール』が先に公開された。
  キャストについても、監督についても次ぎ以降の作品に期待は持てるが、この作品はやはり並みのできと言わざるを得ないだろう。

Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ2001年以降

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