センターステージ
2006/9/25
Center Stage
2000年,アメリカ,115分
- 監督
- ニコラス・ハイトナー
- 脚本
- キャロル・ヘイッキネン
- 撮影
- ジェフリー・シンプソン
- 音楽
- ジョージ・フェントン
- 出演
- アマンダ・シェル
- ピーター・ギャラガー
- ドナ・マーフィ
- イーサン・スティーフェル
- ゾーイ・サルダナ
名門バレエ団“アメリカン・バレエ・カンパニー”の練習生となり期待に胸を膨らませるジョディは、初日いきなりスターダンサーのクーパーに声をかけられる。そして、ルームメイトたちとも仲良くなるが、現実は厳しく、男女三人ずつというバレエ団への入団はかないそうもなかった…
ニコラス・ハイトナー監督によるバレエ団を舞台にした青春映画。有名ダンサーやフィギュアスケート金メダリストのイリア・クーリクなどが出演している。
バレエのことはよく知らないので、誰が有名ダンサーなのかはよくわからないし、踊りのよしあしも今ひとつわからない。しかし、クーパーが振り付けしたという新作は(画面を通して見る限り)すごくおもしろいものだった。音楽もマイケル・ジャクソンやジャミロクアイの曲を使い親しみやすいものになっているし、映画用なだけに映像作品として扱いやすい構成になっているのがいいのだろう。 そのような要素はあるが、この新作がこの映画の中で持つ意味は非常に大きいので、それを素直に楽しめたというのはこの映画がそれなりに面白いということになるだろう。
そしてやはりダンサーたちの肉体の躍動感は本当に息を呑むものがある。人間がこれだけ高く飛び、これだけ速く回転することができる、実際のバレエを見たりバレエの映像を見たりしたときにいつも感じる感動がここにもある。
それ以外の部分はいわゆる青春映画の典型的な展開を踏襲している。夢に向けて突き進む若者たちの成功と挫折、恋愛と三角関係、親との関係などなど。それらについてはそつなくこなしているという印象で、及第点だが特別に面白みがあるというわけではない。しかし、それでいいのだと思う。この作品はバレエという芸術の脅威に支えられた映画であり、プロットである青春物語が主張してしまうと、その部分が弱くなってしまい、映画全体の印象も弱くなってしまうように思う。
そして、クーパーによる新作のステージに向けて、その作品にまつわる様々な人間関係が語られ、それが縦糸となって物語を引っ張って行く。そのシンプルな構造もこの映画のよさだと思う。そのように単純な青春映画でありながら、ステージに焦点を持ってゆき、本物のバレエダンサーを数多く起用し、バレエの部分を強調したことによってこの作品は成功作になっている。
何度もいうようだが、実際のステージのシーンがこの映画の中で最もいいシーンであるという点がこの映画の非常にいいところだ。そして、そのシーンはかなり長いにもかかわらず、まったく観客をあきさせない。それはこのシーンに様々な登場人物たちの感情が絡み、それを読み取れるように組み立てられているからだ。
少し芸術的な気分も味わえる娯楽映画としてこの作品は優秀なものだと思う。ラストも安易という印象は否めないが、それなりに納得が行く結末でよかった。