キャプテン・ウルフ
2006/11/24
The Pacifier
2005年,アメリカ,95分
- 監督
- アダム・シャンクマン
- 脚色
- トーマス・レノン
- ロバート・ベン・ガラント
- 撮影
- ピーター・ジェームズ
- 音楽
- ジョン・デブニー
- 出演
- ヴィン・ディーゼル
- ローレン・グレアム
- フェイス・フォード
- ブリタニー・スノウ
- マックス・シエリオット
海軍特殊部隊の大尉シェーン・ウルフは誘拐されたプラマー教授の救出作戦を指揮、作戦は見事成功したかと思われたが、直後何者かに襲われてしまう。一命を取り留めたウルフに命じられた次の任務はプラマー教授の夫人がスイスに行っている間、その子供たちを守るという任務だった…
『リディック』のアクション・スター、ヴィン・ディーゼルがはじめて挑んだコメディ。つまらなくはないがディスにーらしい毒にも薬にもならない内容の映画。
マッチョのアクション俳優が売れっ子になるとコメディに出演するというのは今ではお決まりのコースである。もともとアクションとコメディというのは同じ娯楽映画として近しい関係にあるし、コメディ的な要素というのはあらゆるドラマに取り入れられうるものだから、それ自体は不思議ではないし、個人的にはそれはそれで面白いと思う。
しかし、この作品のようにそれがディズニーとなるとどうだろうか。ディズニーの映画には毒がない。硬派で強面のアクションスターが毒のないコメディに出るというギャップが面白いと思うのだろうが、アクション映画でも基本的に“いいもの”である彼らが毒のないコメディに出演しても、いまさらそこにギャップがあるとは思えない。
この作品はディズニーの映画らしく穏やかなコメディで、まあ笑えるところがないわけでもないし、つまらないものではない。しかしいつも通り、子ども達は完全にいい子だし、悪役として現れる大人は根はいい人であるか、間抜けであるかのどちらかだ。
つまり、これはそのようないつも通りのディズニー・ファミリー・コメディをヴィン・ディーゼル主演で撮ったというだけの作品だ。主役は別に誰でもよかったのだが、ヴィン・ディーゼルなら多少は話題になって客も入るだろうという理由だけで彼が主役に起用されたということは想像に難くない。
もちろん、ヴィン・ディーゼルとしてもアクション一辺倒の役者というイメージを植え付けられる前に芸の幅を見せて起きたいというはらもあったのだと思うが、ともかくそのようにして作られた映画だということがみえみえなのだ。
まあ、映画は産業であり、客が入らないと商売にならないのだから、それが悪いとは言わないが、そのようにして実質的に“同じ”映画を手を変え品を変え見せられるというのも辟易する。もちろん賢い観客になってそんな映画は見なければいいのだが、やはりついつい乗せられてみてしまうこともある。
まあ、一部のディズニー映画と違って見ても害はないので、見てはいけないとは言わないけれど、こんな毒にも薬にもならない映画に金を落としてディズニーを喜ばせるのはやめにしたいところだ。