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★★.5--

2006/12/12
Control
2004年,アメリカ,105分

監督
ティム・ハンター
脚本
トッド・スラヴキン
ダーレン・スウィマー
撮影
デニス・レノア
出演
レイ・リオッタ
ウィレム・デフォー
ミシェル・ロドリゲス
スティーヴン・レイ
キャスリーン・ロバートソン
preview
 死刑を執行されることとなった凶悪犯リー・レイが薬物注射を受ける直前、彼の人生が走馬灯のように頭を駆け巡る。しかし彼は死体安置所で目を覚まし、コープランド博士に凶暴性を抑える薬の実験台にならないかと持ちかけられる。実験数日目にはおとなしくなったふりを見せて、逃亡を図ったが、徐々におとなしくなっていく…
  レイ・リオッタとウィレム・デフォー競演、なかなか面白いのだが、落ちがなんとも…
review

 これは本当になんてことはない映画である。凶悪犯が新薬の実験台となるため死刑を免れるという、映画やフィクションの世界ではよくある設定、そしてその実験が成功するのかというサスペンスと死刑になる前の彼を狙う人々との追いつ追われつのサスペンス、さらにちょっとしたロマンス。なんとも、どこかで見たような話で、退屈してもおかしくはないと思うのだが、これが面白い。

 もしこれがいわゆるスターの主演によるもの、例えばレイ・リオッタがブラッド・ピットで、ミシェル・ロドリゲスがジュリア・ロバーツだったり、あるいはウィレム・デフォーがトム・ハンクスだったりしたら、これほど楽しめなかったのではないかなどと思う。

 それは、もしスターが主演だとしたら、そのスターを見せようという製作者側の狙い(もちろんスターは完成時の登場時間が契約で決まっていることが多いから、製作者にはどうすることもできないことだが)が見えてしまい、それによってどこかでアンバランスが生じるからだ。この作品にはおそらくそのようなしがらみはなく、自由に映画が作れているように見える。

 レイ・リオッタは脇役としては既に定評を得た役者である。そのような役者が主演した映画というのは大体面白くなる。これも名脇役のウィレム・デフォーが脇を固めているというのもいいし、ミシェル・ロドリゲスも効いている。ちなみに、監督のティム・ハンターはTVを中心に活躍する監督だが、話題のTVシリーズ「4400 未知からの生還者」や「CSI:ニューヨーク」にも監督として参加している。これからもたまにこのような佳作が単発で出てくるかもしれない。

 たまに映画を見ていて映画の構造や製作者の狙いが目に付いて、どうしても素直に映画を楽しめないことがある。しかし、この作品はまったく逆で、構造がシンプルであるだけに、何とはなしに映画に引き込まれ楽しめてしまった。

 ただ、この作品の最大の難点は最後の落ちにある。途中でも、「これはないだろ」と思わせるような手ぬるい感じがあったのだが、最後は本当に「こんな終わり方?」と思ってしまうなんとも拍子抜けな最後だ。まあ、何とか結末をつけなきゃいけないし、ある意味ではどんでん返しなんだろうけれど、それまでの展開と比べてちょっと… という感じ。

 全体としては悪くないけれどどうにも落ちが弱い。そんな映画。

 こういう作品をB級映画と呼ぶかどうかは微妙だが、目立たない作品として、時間があって特に見る作品がないというときに見ようという作品のリストに加えておくにはいい。

Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ2001年以降

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