チャップリンの総理大臣
2006/12/27
Caught in a Cabaret
1914年,アメリカ,16分
- 監督
- マーベル・ノーマンド
- 脚本
- マーベル・ノーマンド
- 撮影
- フランク・D・ウィリアムス
- 出演
- チャールズ・チャップリン
- マーベル・ノーマンド
- ハリー・マッコイ
- チェスター・コンクリン
- エドガー・ケネディー
- ミンタ・ダフィー
text
チャップリンの初監督作品と位置づけられるが、クレジット上はマーベル・ノーマンドの監督となっている(事実上は共同監督といえる)。
チャップリンは安酒場の給仕で休憩中に犬を連れて歩いているところで悪漢に襲われている上流階級の婦人を助ける。そこでたまたま拾った名刺を渡すが、そこには「アイスランド国総理大臣」と書いている。チャップリンはその日に開かれるパーティーに招かれ、再び休憩時間を利用してパーティーに出かける。
この作品には後のチャップリン作品につながる様々なモチーフが登場する。スタイルの面ではこれまでもたびたび登場した浮浪者の原型スタイルだが、物語面では上流階級と下層階級のギャップというチャップリンらしいテーマが登場。そのギャップが生み出すおかしみが物語り全体を包んでいる。
また、ヒーローとしてのチャップリンが登場するのもこの作品からと行っていい。小汚いスタイルのチャップリンではあるが、彼はヒーローとして人々から喝采され、調子に乗ってしまうという設定から落として行くという展開を好む。この作品はその原型ということができるだろう。
映像面では、フレームの外側を使ったコメディも登場する。それは酔っ払って帰ってきたチャップリンが酒場のスウィングドアに何度もぶつかるシーンで、画面の端に設定されたスウィングドアを使ってチャップリンがドタバタを演じるのだ。
チャップリンが監督したことでそれまでの作品と劇的に違ったということはないが、なんとなくチャップリンらしさが感じられることは確かだ。