パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト
2007/1/7
Pirates of the Carribbean: Dead Man's Chest
2006年,アメリカ,151分
- 監督
- ゴア・ヴァービンスキー
- 脚本
- テッド・エリオット
- テリー・ロッシオ
- 撮影
- ダリウス・ウォルスキー
- 音楽
- ハンス・ジマー
- 出演
- ジョニー・デップ
- オーランド・ブルーム
- キーラ・ナイトレイ
- ビル・ナイ
- ステラン・スカルスガルド
ジャック・スパロウを救い出したウィルとエリザベスは結婚式を挙げようとするが、ジャックを救った罪で東インド会社によってつかまってしまう。一方ジャックのほうはめでたくブラックパール号に戻るが、幽霊船フライング・ダッチマンの伝説の船長デイヴィ・ジョーンズの呪いにより、またも逃亡の身になる。
世界的にヒットした前作を受けた続編、独特の世界観とジョニー・デップの魅力は発揮されているが、次作へのつなぎという感も否めない。
前作はジョニー・デップ=ジャック・スパロウの魅力によって面白くなっていたし、それでヒットしたという感じが強かった。そのキャラクターの面白さに比べると、物語のほうは平凡というか、ディズニーらしいものであった。そして、続編であるこの作品もその傾向を引きずっている。作品の中心はジャック・スパロウであり、登場人物も観客もそのジャックに引きずられていく。
それによって作品はそれなりに成り立ってはいるのだけれど、やはり2作目ということで、インパクトは薄れ、それだけで楽しめるほどの力はなくなってしまっていることも確かなことだろう。もちろん、まったく同じでは観客に受け入れられないということは製作者側のわかっており、今作ではプロットのほうに工夫を凝らしている。ジャック、ウィル、エリザベスという3人の登場人物にそれぞれ異なるプロットを背負わせ、それを平行させ、交錯させることで観客に頭を使わせているわけだ。
しかし、これがどうも複雑すぎたのではないかと思う。前作をしっかりと覚えていれば、登場する小道具の意味や登場人物同士の関係を理解できて、スムーズに物語に入っていけるのだろうと思うのだが、前作の記憶があいまいだと「なんだったかな~」などと思っているうちに物語においていかれてしまうという感覚がある。
物語のポイントとなる“デッドマンズ・チェスト”も、結局のところそれを手に入れたらどんな力を得られるのかが良くわからないし(説明されていたような気がするが、説明と実際が今ひとつ一致していない気がした)、それぞれの登場人物の目的が結局どこにあるのかがわかりにくい。そのためになんだか物語りに入り込めないまま時間ばかりが進み、長いだけにみていると疲れる。わかりやすさを身上とするディズニーとしてはどうなんだろうか。とりあえず子供には相当つらいことは確かだ。
そんな中、面白かったのはデイヴィ・ジョーンズの幽霊船の船員たちだ。デイヴィ・ジョーンズへの服従を誓い、100年間その船で働くことを約束させられた船員たちはみな海の生き物の姿をしている。おそらく人間から少しずつ海の生き物へと姿を変えていくということなのだろうが、その生き物がサメだったり、珊瑚だったり、タコだったり、色々で、その姿がなかなかエキセントリックでいい。特殊メイクとCGによって作り上げられたそのキャラクターは細部まで綿密に計算されており、その細部やどのように姿が変わっていくのかということに興味を引かれる。