サイン・オブ・ゴッド
2007/6/6
Das Jesus Video
2003年,ドイツ,110分
- 監督
- セバスチャン・ニーマン
- 原作
- アンドレアス・エシュバッハ
- 脚本
- マーティン・リッツェンホッフ
- 撮影
- ゲルハルト・シルロ
- 音楽
- エゴン・リーデル
- 出演
- マティアス・ケーベルリン
- ナイケ・リベリ
- マヌウ・リボウスキー
- ハンス・ディール
イスラエルの移籍発掘現場、コブラに襲われそうなところを危うく助けられたステファンが今度は穴に落ちる。しかしその中で人骨を発見、その骨はチタンによる骨折の治療跡があり、傍らからはビデオカメラの説明書も発見された。ステファンはこれをタイムトラベラーのものと断言するが…
ベストセラーとなった原作の映画化。話としては面白いが、映画としてはまあこんなものという感じ。
発見された遺骨がタイムトラベラーのものかもしれないとなると、普通は思わせぶりに色々な調査なんかを行って、いったいどうなんだ…と気を持たせるものだが、この作品では簡単に2000年前の骨とわかり、チタンによる骨折の治療跡があり、さらにはビデオカメラの説明書まで発見されて、あっという間にタイムトラベラーのものだということが明らかになる。これは大胆な展開だが、やり方としては正解だろう。なぜならこの物語はタイムトラベルを巡る物語ではなく、残されたビデオカメラを巡る物語だからである。
この物語においてタイムトラベルというのはあくまで舞台装置であり、それが行われたということが納得できればそれでいいものなのである。だからタイムパラドックスについての説明もまったく適当だし、実際にタイムトラベルしたらその間に地球がどこかに行ってしまうはずだということに対する答えもまったく用意されていない。このあたりはやはり不満だが、その解説に時間を割けば全体が退屈になってしまうし、かといって無視することも出来ないというところだろうか。
それはともかく、物語のほうはキリストが映っているらしいというビデオカメラを探すことに焦点が当てられる。なぜそこまでして探すのかはよくわからないステファンと、なぜそこまでして妨害しようとするのかわからない謎の組織の戦いとなり、そこで展開されるステファンのアドベンチャーには見ごたえがあるのだが、結局なんだったんだという消化不良は残る。
色々なことが起こるが、誰にしてもその動機があまりはっきりせず、どうしてここまで激しくなるのかがわからない。ステファンの周囲の人間を次々と殺す謎の組織にしても、なぜそこまでするのか。キリストが実在しなかったという不利な証拠を隠滅したいということなのか。そのあたりの意図がはっきりしないので、どうも物語にのめりこんでいけない。
まあ、この映画はあくまでもアドベンチャーであり、謎解きの映画ではないので、そんなことを言っても仕方がないのだが、原作にはもっと色々な謎解きやSF的な解釈があったのだろうなぁと思うと、なんとももったいないような気もするのだ。ドイツのB級映画にしてはかなりいい出来だと思うが、もう少し面白く出来たのではないかとも思う。
こんな映画こそハリウッドで大掛かりな仕掛けで作ってほしい。そうすれば『ハムナプトラ』くらいの映画にはなったのではないだろうか…